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第37話 ルギウスとの決着、そして……

「クハハハハ! いいぞ、これなら誰が相手であろうと負けん!」


 ルギウスは両手を広げて高らかに笑う。


 黒い石がどう作用してそうなっているのかは不明だが、ルギウスの体には黒い影が跡となって刻まれていた。

 そして何より、先程まで感じなかった邪気のようなものをルギウスから感じる。


「リジルよ、先程はよくもやってくれたな……!」


 これと似た雰囲気を、僕は以前にも何度か感じたことがある。


 魔王の残滓の影響を受けて変貌したとされているモンスター、ジャイアントオークやボルケーノドラゴンと対峙した時だ。


 人間であるはずのルギウスからなぜそのようなものが感じられるのか。

 それには当然あの黒い石が関係しているのだろう。


「ルギウス! お前、その黒い石をどこで……」

「ククク、言ったはずだリジル。お前とおしゃべりしに来たわけではないと。俺の目的はお前と決着をつけることだけだ!」

「よせっ! そんなこと言ってる場合じゃ――」

「フフン。お前にその気がなくとも戦ってもらうぞ。……そぉら!」


 ――あれは、デュラハンの……!


 ルギウスが観客の入る方に手を向けると黒い衝撃波が放たれる。


 轟々と唸りをあげて悲鳴を上げる人たちの方へと向かう黒い影。

 しかし、それが観客のところまで届くことは無かった。


「ハァッ――!」

「リラさん!」


 観客の前に飛び出したリラが剣を盾にして、衝撃波が到達する前に防いだのだ。


「くっ、何という威力だ……。リジル、観客たちのことは私に任せろ! 君がそいつを倒すんだ!」


 リラは片膝をつきながら僕に向かって叫ぶ。


 ――くそっ、僕がルギウスを食い止めなければ……!


「こ、こうなったら俺たちも協力するッス!」

「あんにゃろー、他の人たちを狙うなんて許せない!」


「リジル様、これを!」


 ルアが【収納魔法】の異空間から取り出した魔石剣エルブリンガーを受け取り、僕は臨戦態勢に入る。


「フン、雑魚どもはどいてろ。俺とリジルの決闘を邪魔するな!」


 ルギウスの背後から黒い影が雨のように放たれた。


 僕は【縮地】と【スキルブレイク】でその内の何発かを迎撃するが、防ぎきれなかった黒い影の直撃を受けてナルとドゥーベが後方に弾き飛ばされる。


「ナル、ドゥーベさん!」

「よそ見している暇などないぞ、リジル!」


 ルギウスは間髪入れず、黒い衝撃波を放ってくる。


 一発一発を弾くが、防戦一方で攻撃に転じることができずにいた。

 少しでも気を抜けば後ろにいるルアや観客に当たってしまいかねない。


「そらそら! このまま沈めぇ!」


 ――くっ、攻撃にさえ移れれば……!


 僕は無数の黒い影を剣で捌きながら機を窺っていたが、闇雲に撃たれたの内の一発がルアの方に向かっていく。


「ルア!」


 が、ルアの前で青白い結界に遮られ、黒い影は消滅する。


「なにぃ!?」


 この結界は……。


「リジル、今だ! そいつの黒い石を壊せ!」


 叫ばれた声の方を見ると、そこにはやはり賢者アンバスがいた。

 僕はその声に応じ、【縮地】で一気にルギウスの懐に潜り込む。


「チィッ!」


 慌ててルギウスも結界を張るが、僕はその結界ごと上級剣技、バーストストライクで撃ち抜いた。

 魔石剣エルブリンガーの剣先が黒い石を貫き破壊すると、ルギウスの体から黒い邪気が逃げていく。


「お、のれ……、おのれおのれおのれ! 貴様はまたしても……!」


 苦悶の表情を浮かべるルギウス。

 そして――、


「ぐがぁあああああ!」


 辺りを覆っていた邪気が完全に消滅すると、そこには地面に倒れ込んだルギウスがいた。

 僕はルギウスが気を失っているのを確認して、魔石剣エルブリンガーを鞘に収める。


 ――オォオオオオ!


 一拍間を置いて、辺りの観客たちからは歓喜の声が上がった。


「や、やったッス、リジルさん!」

「リジルぅ、良かったぁ!」


 良かった、ナルとドゥーベも無事だったようだ。

 二人は少しふらつきながらもこちらに歩いてきた。


 観客席の方を見るとリラも笑みを浮かべ、賢者アンバスが親指をこちらに向けて突き立てている。


「リジル様、ルギウス様は……」

「ああ……」


 僕はルアと頷き合って、倒れているルギウスの元へと向かう。


 ルギウスがなぜあの黒い石を持っていたのか。

 それを確かめるためにも、ルギウスを問いただす必要があった。


 が、抱え起こそうと手を伸ばしたところ、周りの地面に黒い影が現れルギウスの体を飲み込んでいく。


「なっ……!?」


 そして、不意に怪しげな声が響く。


 ――やはりこれでは君に敵いませんか、リジル君。悪いですが、出直させてもらいますよ。なぁに、またすぐに会えますよ。


 その聞き覚えのあるひどく不気味な声に反応して、僕は咄嗟に【索敵】スキルで周囲を探知する。


 一瞬だけ呪術師クロの気配を察するが、それは黒い影に飲まれるルギウスの姿とともに消えてしまった――。


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