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第24話 大狩猟祭、開幕

「皆さま、本日は我らミダス商会主催の大狩猟祭にお集まりいただきありがとうございます!」


 朝、参加手続きを行った後で参加者たちは大狩猟祭に関する説明を受けるため、城壁の前へと集まっていた。

 僕はもちろん、昨日の酒場で出会った冒険者たちもいる。


 ルギウスは離れたところからもの凄い形相で僕の方を睨んでいた。

 昨日のことがよほど怒りを買ったらしい。


 城壁の上、その中心には運営をするミダス商会、王都の貴族たちが陣取り、横には観戦する人が所狭しと詰めかけている。


「リジル様、頑張ってください!」

「うおー、リジルさん優勝、優勝ッスよー!」

「リジルー、勝ったら酒場でまた昨日の料理ねー!」


 ルアやナル、ドゥーベも城壁の上から僕に声援を送ってくれていた。


「大狩猟祭のルールは至極単純。まず、私共の方で王都周辺にモンスターを集敵する魔法を使用します。皆さまにはそのモンスターを狩っていただくわけですが、これを私共がスキルで集計し、より多くのモンスターを狩った方の優勝となります!」


 元気良く話す司会の女性から、大狩猟祭のルールが説明される。


 なるほど、とにかく多くのモンスターを倒せばいいというわけだ。

 様々なモンスターに打ち勝つのはもちろんだが、なるべく無駄な時間をつくらずにモンスターを継続して倒すことが重要になるだろう。


「もし参加者の方々に危険が迫った場合ですが、我らミダス商会の長である、リラ・ミダスが救助に向かいますのでご安心を!」


「リラ・ミダスです。よろしく」


 司会に紹介されたリラという女性は金色の長髪をなびかせ、凛とした声で短く挨拶をする。

 その佇まい、所作から相当な手練であることが窺えた。


「おお、あれが噂の剣姫リラ嬢か。何と麗しい」

「冒険者として活動すればプラチナランクか最上位のブラックランクに匹敵する腕前だと聞くが」


 横にいた冒険者たちはリラ・ミダスに釘付けになっているようだ。

 確かに美しい女性だった。


「……」

「……え?」


 気のせいか?

 リラが僕の方を見ていたような……。


 そんな僕の思考は司会の女性の声で遮られる。


「さてそれから、優勝者の方には大狩猟祭を制した証として、シリング王より覇者の冠が授けられることとなります!」


 優勝すれば王と会うことができる。

 そのことはやはり事実のようだ。


 ファーリス村の人たちの想いに応えたいというのがもちろん一番だが、僕個人としても王との謁見は叶えたいことだった。


「それでは皆さま、頑張ってください! あ、それと最後に大切なことを」


 司会の女性が言って、僕や周りの冒険者たちの視線が城壁の中心に集まる。


「今後とも我々ミダス商会をごひいきにー!」

「……」


 何とも商売根性あふれる締めだった。

 参加者たちと隣に立つリラから冷ややかな視線が司会の女性に送られている。


「あ、えと……。とにかく! 大狩猟祭、開幕でーす!」


   ***


「ふぅ……」


 陽が昇りきった頃。


 ざっと数えて100匹ほどは倒しただろうか。


 僕はなるべく多くのモンスターを狩るため中級剣技の連続技、スネークバイトを中心に討ち倒していった。


 時々こちらに対して毒霧やブレス攻撃などの特殊攻撃を仕掛けてくるモンスターもいたが、それらに対しては【スキルブレイク】により対応可能で、空中を飛んでいるモンスターに関しても【命中率上昇(範囲中)】のスキルを使用し、武器を投擲することで撃墜できた。


 スライム種やウルフ種、リザード種にゴブリン種、バード種等々。

様々な種別のモンスターが現れたが、ジャイアントオークやボルケーノドラゴンと戦ってきた経験もあってか、特に苦戦すること無く撃退することができている。


 他の参加者たちはどうだろうか?


 自分では順調に狩っているように思うが、他の参加者の状況までは正確に分からない。


 何にせよ、優勝するために落ち着いている暇は無いだろう。

 特に、勇者紋を持つルギウスもいるのだ。


 順調に狩っているように思えても、油断してはいられない。


 僕は気を引き締め、再度モンスターを探すことにした。



 そしてこの時、大狩猟祭に混乱をもたらす存在が迫っていることを、僕はまだ知らなかった――。


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― 新着の感想 ―
[一言] 討伐数が3桁台に突入してる時点で既に大会記録更新してそう。
[一言] 魔族が暗躍してたし今回もそうかな
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