7 弾む心
短めですが。
誕生祭当日の夜、ルーナは社交の場には出ないため城の自室にいた。
あと半時ほどしたら外の廊下でレオンと落ち合うのだ。もうすぐやってくる幸せな時間を想像するだけで心が浮き足立つ。
「二人だけで星屑の風をみにいけるなんて…こんなに嬉しいことはないわ!
最近は精霊たちのいたずらもないと父さまも言っていたし…今まできちんと父さまや兄さまとの約束を守ったもの。
今日だけは精霊もわたしたちを味方してくれるはずよ!」
それからもずっと落ち着きなくうろうろしていたルーナは、そのときが来ると部屋の明かりをすべて落とした。
思わず歌い出しそうになる気持ちを抑え、そっと扉をあける。
もう寝るからと侍女たちは下げていたため廊下には誰もいない。
はねそうな脚を一生懸命落ち着かせ、美しい満月の下、レオンとほほえみ合う自分の姿を想像し頬を緩ませながらルーナは暗い廊下を進む。
もう少しで待ち合わせ場所に着くというとき、彼女はふと何かを思い出したように立ち止まり、窓の外に浮かぶ月を見上げた。
「聞いてたと思うけど、邪魔はしないでね」
そういうと先の通路にレオンの姿を見つけ、歩を進めた。
彼女がつぶやいた先には何も見えない。
ただ光の粒が舞うだけだった。
まだまだ。