4 不本意な本意
「婚約は決定でいいよな、ヴァルガン、デルフィオ。レオンもそろそろ決めなければ。」
幼い二人が庭園に行くのを見送ってから王は幼なじみとその息子に声をかけた。
デルフィオはこっそり控えていた壁際から諦めたように王のもとへ近づいた。
「…もとはといえば私の落ち度で今回の謁見が行われていますから。非常に不本意ですが私の方からこれ以上婚約の引き延ばしをお願いすることはありません。」
レオン様が何か粗相をすれば私がしっかり対処しますので。
割とまじめな顔で王に宣言した。
あきれた顔を隠すことなくデルフィオを見た後、宰相の返事を聞こうと顔を向けた。
そこには王が思っていたのとは少し違う面持ちをした宰相がいた。
それも一瞬、何かを迷っているような、自信がない、何かを恐れているような、いろんな感情が入り交じった表情だった。しかし、すぐにいつもの調子でごね始める。
ひととおりご託を並べると諦めたように大きなため息をついた。
「…まあ、レオン殿下も虎視眈々と期を待っていたのだろうから、そう簡単に諦めてはくれないだろう…?すぐに安否が確認できる距離に私とデルフィオが居られるのも都合がいい。デビュタントまでの安全も確保されていると考えられるし…。非常に不本意だが…ありがたく婚約させていただこう。」
「…おまえは私に対する態度を改めるべきだと思うが、感謝しよう。では、婚約の発表はー「ただー」」
気が変わらないうちに外堀を埋めようとする王の言葉をデルフィオが制した。
「ただ、今はあまり公にはしないで欲しい。とくに精霊たちを利用しようとするやつらには知られたくないんだよ。」
短めかつお話が進みません。