第2話 すげーなおい!
ーーーこうして、政治家護衛の依頼が始まった。
「これから護衛対象の政治家と食事会を予定してるのですが貴方も一緒来なさい…挨拶をしないといけないので」
なんともタイミングのいいことで…こうなることを想定してのことだな。この叔母上はどこまでもお見通しなのか末恐ろしい
「そういうことならご一緒させていただくことにします」
丁度、週末なので少し帰りが遅なっても問題ないだろう
一応、母親には連絡いれておくか
「食事会の時間は夜の7時ですので」
今が午後5時半だからあと一時間半か
いまから家に帰って着替えても時間があるから家に帰ってから母親に話しても問題ないだろう。
「時間がすこしあるようなので一旦家に帰ってもよろしいですか?」
叔母上に確認する
「えぇ…よろしいですわ。元よりその予定だったので」
そこまで計算してたか…!
「では、行きましょうか」
叔母上が部屋を出るそれに続いて俺も部屋を出る
「ところで叔母上…もし俺が断っていたらどうしてたのですか?」
俺がそう質問すると叔母上は
「貴方に断る選択肢は与えないつもりでしたよ」
と答えた。
それってどうあがいてもYESだったってことかよ!
「そうですか…」
それしか言えなかった…
そんなこんなやってたらいつの間にか家に着いてた。
「ただいま母さん!」
といってもすぐに出かけるけど!
「あら、おかえりなさいませ…主人様」
俺を出迎えてくれたのは母親ではなかった
俺のことを主人様と呼んでるこの女性は玄月家に代々仕えている人の娘で俺の世話係で名前は鈴華という。
黒色の髪の毛にすらっとした体つきに顔は美人とモデルかよと思うほどの美貌を持っているが年齢は俺と同じだ
ちなみに名字は不明(というか俺に仕えると決まった時から鈴華と呼ぶように言われた)
と、そんなことを考えてる場合ではない!
「お母さんは?」
「奥様なら急な仕事で数分前に出ていかれましたが?」
まじかよ!間が悪すぎるぞ
どうかされたのですか?と聞いてくる
「このあと食事会があるから帰りが遅くなると伝えたかったんだ」
「そういうことでしたらあとで私の方から連絡しておきますわ!」
「助かるよ!ありがとう…」
っとそんな呑気にしてる場合じゃねぇ!早く着替えないと叔母上を待たせてるんだった
慌てて二階に上がり自分の部屋に入るとタンスからスーツを取り出し着替える
「スーツ姿も素敵ですわ!主人様」
階段を降りるとまだ鈴華がおり褒めてくれた
「おう!じゃあ行ってきます」
玄関を出ると後ろからはいお気をつけて!という鈴華の声が聞こえてきた
「お待たせしてすみません!」
待ち合わせまであと一時間だ
「いえ、ところで姉さんには遅くなると伝えたかしら?」
「それが、どうにも急な仕事ですれ違いになったんです」
でも、鈴華が後で連絡をしといてくれると話した
「なるほど、そういうことでしたら安心ですわ」
それから数十分後、目的の場所についた
「あれ?ここってたしか」
見覚えのある建物だった
「食事会はここがいいと相手からの要望で」
なんで支配下の高級料亭ィ!?
いやたしかに、相手が政治家だから当然だけどここじゃなくてもよくね
「お待ちしておりました…お客様はまだご到着されておりません」
中に入るとウエイターが出迎えてくれた
ではご案内しますねと言い一番端っこの部屋へと案内してくれる
「先方が来るまですこし時間があるから先に飲み物でも頼もうかしら」
「そうですね…じゃあ俺はウーロン茶で」
「私は白ワインをお願いしますわ」
かしこまりました、少々お待ちくださいと言い部屋の扉を閉める
「先に着いてよかった…もし待たせたら印象が悪くなるかと心配しましたよ」
「でしょうね、だってそうなるように相手には30分ほど遅く待ち合わせ時間を知らせてありますもの」
えぇ、そこまでするかい普通
あ、普通の枠組みに当てはまらない人だったわ。
「お待たせしました…ウーロン茶と白ワインでございます」
トレイにウーロン茶とワイングラスそれに白ワインのボトルを乗せ片手でそれを持ちもう片方で扉を開けてウエイターがやってきた
すげーなおい!
「あら、ありがとう。これはチップよ他の人には内緒ね?」
指を口に当ててシーとやり一万円札を数十枚ウエイターに渡した
額がすごいんじゃー
「おやおや、これはみてはいけない場面を見てしまったかな?」
そこへ男性と女性がやってきた
「お待ちしておりましたわ…先生」
「先生だなんてやだなー貴女の方が私よりも偉いのに」
ガシッと握手する二人
女性はそれを数は後ろでただ見ていた
「ところで隣にいる彼は?」
と、そこで男性が俺を見る
「はじめまして…玄月黎斗と申します」
「玄月…ということは子どもかい?」
俺とも握手をする
「いいえ、彼は私の甥っ子ですの。」
「なるほど…(ふむなかなか面白い若者だ)」
俺のことをジーっと見ながら思い耽る
「私は高田武蔵…こういうものだ」
名刺を渡される
名刺には名前と職業が書かれていた
「そして、彼女は私の秘書兼護衛の」
「愛佳…浅村愛佳です」
よろしくお願いしますそれだけを言いまた後ろに下がる。
やりづらいなぁどうにもまぁ護衛だからでしゃばり過ぎてもあれだと思ってるのか?
「お話もいいですがまずは食事にしません」か?」
叔母上がそう言ってメニューを見始めた
ーーーいよいよ緊張の食事会が始まる