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魔銃使いとお嬢様  作者: 文月 鎌
第1発
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24/114

貿易都市ナラルラ

「見えましたよ!あれが貿易都市ナラルラです!」


「とうちゃくなの〜!」


 御者席に座るカナールさんの横に立つスクラちゃんが両手を振り上げて叫んでいる。


 時刻は午後3時。ダンさん達と出会った翌日である。



 遠くに石壁が見える。それが少なくとも馬車の上から見える範囲の地平線まで続いている。


 この貿易都市ナラルラはウェントッド大陸最大の大河であるマール河沿いにある都市である。


 マール河はウェントッド大陸を南北に貫く大河で、ラナンサス王国北部統一域の山脈帯から大陸南部の小国郡で海に注ぐ河だ。


 この国の王都や城塞都市などの大規模都市は大半がこのマール河沿いに造られている。そのため、この貿易都市ナラルラも重要な都市と言える。



「この辺りじゃ最大の都市になるのか。ここは」


「そうですね。この近辺で貿易をする時は水運陸運両方の拠点になりますから。必然的に街は大きくなっていったそうです」


 俺の呟きにカナールさんが答えてくれる。


 フーレニアにいた頃にも貿易都市ナラルラの話は聞いたことがあるが、やはり活気に溢れているという。


「そうだ、あと一時間位で到着します。ヤマトさんはハンターになりに貿易都市に来たんですよね?」


「はい。ルルと二人で登録をしようかと思って」


 カナールさんが振り向いて俺に聞いてくる。

 スクラちゃんは今は横に居ない。いつの間にかカナールさんの横から移動していたのだ。

 昨日からの短い時間でルルに懐いて、今は膝の上に乗って足をブラブラさせている。乗っかられている当の本人は寝ているが。


「そうですか。でしたらダンさん達と着いたらすぐに登録をしてきてください。そしたらこの護衛分の報酬を渡せますから」


 俺はカナールさんの話に驚いた。

 俺は護衛なんてしてないしむしろ相乗りさせて貰って居るのに。


「大丈夫です。護衛はしてくれていますよ。昨日、火を貸してくれましたよね。それです。それで夜を生き延びられたんですから」


 なるほど。つまり野営する所に困っていたカナールさん達に野営する場所を与えて、その日の夜の危険を遠ざけた……ってことなのかな?


「そうです。ですので、ハンター登録をして貰ってください。ダンさん達にはもう話を通してあるので」


 なるほど……


 いろいろしている内に貿易都市は目の前だ。今は中に入るための列に並んでいる。


 どうやらこれが通行税や入場税の徴収に当たるらしい。


 徴収しているのはこの街の衛兵だが、下手なのか遅々として進まない。

 かれこれ30分は待っているのにだ。


「こりゃあ、揉めてるな」


 後ろの馬車から歩いてきたダンさんはそう言った。


「揉めてるってなんでですか?」


「それはな……あいつは」


 俺の質問に答えようとしてくれたダンさんだが表情を歪ませた。


「奴隷商だ。この国じゃ違法だが馬鹿な貴族とかはこぞって手に入れようとする。大方、この先の貴族サマにでも売りつけようと思ったんだろうさ。……すまねえ、自分で話しといて何だが気分が悪ぃ。この話はやめにするぜ」



 奴隷商、か……


 日本ではそんなのいなかったから実感ないがこの世界ではまだ居るんだよな……。この国では禁止されてるけど東の大陸の帝国ではまだ奴隷制があるらしいし……


「奴隷……か」


 俺は日本との違い、それも人間そのものの価値の違いを見せつけられていた。


「おや、どうやら逮捕されたようです。ようやく進めますね。それに、捕まっていた人たちも無事のようです」


 カナールさんは立ち上がって様子を見ている。

 そしてその様子を教えてくれる。


「そうですか。あまり遅い時間に入ることは無さそうですね」




 それからだいたい十五分で街の中には入ることが出来た。

 この街の衛兵の人、下手って言ってごめんなさい。



「皆さん、ここまでお疲れ様でした。既にギルドには報告をしているので報酬を受け取れます。ありがとうございました」


 カナールさんのお礼でこの依頼?は終わった。

 寝ぼけ眼のルルと一緒に今日の宿を探そうと思った矢先にダンさんに捕まったが。


「よーしヤマト!ハンターギルドに行って登録するぞ!」


 俺はダンさんに、ルルはベルさんに捕まっている。


 後ろではナクルさんとモールさんがそれを見て苦笑している。


 まあ案内して貰えるなら別に良いのだけど、この両手をガッチリ掴まれた状態で連れていくのはやめてほしい。まるで俺がなんかやらかしたみたいじゃないか。




 ダンさんに連れられながらギルドに向かう道中に見たナラルラの街は素晴らしいものだった。川沿いに作られている街だからか色んなところに水車がある。

 あちこちで川魚が売られていて美味しそうだ。

 鍛冶屋や道具屋といったゲームでお馴染みの店が並んでいる商店街に、川沿いの倉庫街など見るものには事欠かない街だ。


 結構歩いているが、まだギルドには着かない。

 商店街を通り、露店だらけの市場のようなところを抜けてようやっと大きな建物が見えてきた。


「あれがハンターギルドだ。王都に近い門の方に作られてるからあっちからだと遠いのが難点だが、この辺りには色んなものが揃ってるからこの立地も便利ではあるんだ」


 ダンさんがそう解説してくれる。


「あれがハンターギルドか……」


 ダンさんが指さしてくれた先には木と石造りの大きな建物があった。


 見た目は東京駅に似てる。もちろん古い方な。


 建物自体は二階建てだろう。


 うまい具合に木造と石造りが合わさっていてかっこいい。


 入り口からはたくさんの人が常に出入りしている。



 俺とルルはダンさん達に連れられてその中に足を踏み入れた。



 そこで俺達を待っていたのは喧騒だった。






次は14:00です。

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