かれの言葉。
文化祭当日。
ドキドキの中展示会へ向かう。
文化祭当日、執行委員会の仕事は無いに等しかった。
前日まで忙しかったから、何だか暇な気がして仕方なかった。
2年3組は、お化け屋敷。
巴とは時間が違うから、
あたしは兄のちあきが来るまで一人で時間をつぶすことにしていた。
向かう先は美術室で行われてる展示会。
前日はクラスの準備と展示会の準備と結構忙しかった。
展示するスペースやメッセージボードなんかの飾りつけも
結構みんな真剣にやっていたので人が集まってると思うんだけど。
ニスと絵の具とそんな色んなにおいの混ざった美術室。
あたしはここが好き。
展示会は美術部や美術の成績がいい生徒が参加している。
あたしはそこまで成績もよくないはずなんだけね。
「金垣さん」
「先生」
先生は手招きをして、あたしを呼んだ。
美術室には何人も人がいて、驚いた。
「金垣さんの絵たくさんが見に来られてるのよ」
「え、そうなんですか?」
「えぇ、みんな必ず足を止めていかれるの」
先生と話をしながら、自分の展示スペースに向かう。
何だかドキドキしてくる。
「ほら」
「・・・」
あたしの展示スペースには、何人もの人がいた。
絵とメッセージボード、飾りつけ。
忙しい中作ったから、適当になってる部分も多い。
「みなさん、彼女が金垣あすかです」
「・・・」
その場にいた人がみんなあたしを見る。
視線が痛くて思わず下を向いた。
「・・・大丈夫」
声が聞こえた。
たった一言 『大丈夫』と。
「金垣さんのことをいじめる為に見てるんじゃないから、大丈夫」
声の主はそう言って、遠ざかって行った。
見なくてもわかる。
声の主は藤崎くんだって。
「みなさん、足を止めてくださってありがとうございます」
あたしは前を見つめて、声を出す。
視線は痛かった、でも怖くない。
「展示会に参加することは初めてだし、描くのは本当に大変でした。
でも、みなさんが見てくださって、頑張ってよかったって心の底から思いました。
泣きそうになった。
鼻がツーンてする。
あたしが描いたのは女の子がベッドの上で本を読んでる所。
読書の秋っていう安易なものだけど
本当よかったって思う。
文化祭初日はそんな1日だった。
睡眠時間短くても良かったって思った。
「藤崎くんにお礼言い忘れた!」
帰りに思いついたあたしは2日目にちゃんと言おうと思った。
藤崎くんの存在が大きくなってる。
そんなことに少しだけ胸が高鳴っていた。
ゆチャンです。
緊張してる時って、
どんな時でも嬉しいと思うんです。
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