大きくなる存在。
夏休みが開けた。
忙しいけど、頑張らなきゃ。
夏休みが明けて9月。
文化祭まで2週間と時間がない中、
学校では執行委員で文化祭準備。
家では展示会に飾る絵の制作。
「・・・眠い」
「あすか、クマひどいわよー?」
「寝てないからね」
「最近睡眠時間どれくらい?」
「平均2時間くらい」
毎日遅くまで学校に残っていて、
そして帰ってからは絵を描かなきゃいけない。
そんなのがここ数日ずっと続いている。
「ほら文化祭が終わるまでの辛抱だから」
「そうだけど、無理しないでね?」
「うん、わかってる」
巴が凄い心配してくれてる。
その分がんばらなきゃって思っちゃう。
「あれ・・・?」
「おはよう、金垣さん」
「・・・藤崎くん?」
「うん、おはよう」
ふと気付くと、藤崎くんが隣りで本を読んでいた。
あたしは起き上がり、辺りを見回す。
「放課後になっても起きなかったから、山科さん準備行っちゃったよ」
「そか・・ごめんね、わざわざ」
「ううん、金垣さん疲れてるみたいだから」
本をパタンと閉じて、あたしに向き直る。
藤崎くんは何処か心配そうだった。
「準備行こっか」
「・・・」
「藤崎くん?」
「・・・金垣さん無理しちゃ駄目だよ」
藤崎くんはあたしの肩にポンと手を置く。
心配そうなそんな複雑な顔。
「だ、大丈夫だよ」
「無理してるって顔してる、寝れてないんでしょ?」
「今やらなきゃいけないの、委員会だって絵だって大事だし」
「・・・だけどもうちょっと自分を大切にしなきゃ」
「・・・」
何でそこまで藤崎くんが言うのかわからなかった。
腕を掴まれてしまったので、行くに行けないし。
「何で」
「え?」
「何で藤崎くんはそこまであたしに言うの?」
放課後の教室に2人だけ。
まだ蝉の声が聞こえる9月。
しばらくの無言。
「俺が心配なんだ」
「え・・・」
「俺が心配っていうのは、理由にならない?」
頭の中にハテナマークが浮かぶ。
え?え?と混乱しだす。
それから気まずくなって、藤崎くんが手を離す。
しばらくドキドキが収まらなかった。
絵の完成は文化祭の4日前だった。
先生は本当にありがとうと言ってくれた。
それだけで嬉しくて、頑張ってよかったって思った。
あの日以来、何だか藤崎くんとはギクシャクしてしまって
話しづらい感じだった。
委員会で顔合わせても、気まずい感じ。
「このままじゃいけないって思うんだけどなぁ」
理由はわからないけど、そんな気がする。
あたしの中で藤崎くんという存在が大きくなり始めていることに
気付くことなく文化祭当日を迎える。
ゆチャンです。
ちょっと距離が縮まったかなーw
まだまだ続きます。
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