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あの頃のあたし。

親友との久々の再会。

嬉しくて嬉しくて嬉しくて、

でも少しだけ不安なのはどうしてだろう?

旦那様を送り出して

今日はいつもよりも早めに家事を済ますように努力する。


今朝のあすかはいつもとは少し違った。



「はい、あかね?足のばして?」

「あーあっ・・・うっ・・・」


お昼の少し前、あすかはあかねに靴下を履かせようとあくせくしていた。

自分もしっかりと準備を終えて、あかねをベビーカーに乗せる。

あかねは嬉しそうに笑っていた。


待ち合わせは11時半に駅前。

高校時代の友人が来てくれるので

お出迎えをしようという考えなのだ。



「あすか」

「・・・巴!」


山科巴はあたしの親友。

彼女は高校を卒業して美容師の専門学校へ行って

今は美容師をしてる。


会うのは本当久しぶりで

あたしはあかねがいるからそんなに外出は出来ないし、

巴も仕事が忙しかったみたい。



「すぐ作っちゃうからあかねの面倒見ててくれる?」

「ん、わかった」


家に着くとあかねは初めて見る来訪者に少しだけ人見知りしているようだった。

だけど、巴がいい人だってわかると嬉しそうに遊んでもらってた。





本日のお昼ご飯はカリカリ梅の和風パスタとあかね用にチーズオムライス。

あかねはこのオムライスが好きで出すと凄い喜んでくれる。


「本当まさかあすかがこんなに主婦になっちゃうとはねー」

「えー?そう?」

「だってあんた高校の時、料理も洗濯も何にも出来なかったじゃない」

「そんなことないよ?」

「だってあんた、調理実習でまっずい物作って先生困らせてたのに」


高校の時の懐かしい話たち。

食後は紅茶を飲みながら、更に話に花が咲く。

あかねはオムライスが美味しかったのか眠そうにしてたのでベットに寝かせている。



「はい、アルバム」

「あ、ありがとー」


巴から言われていた卒業アルバム。

昨日の電話の後、あたしは卒業以来殆ど開いてない卒業アルバムを出すことにした。


「しかし何でまた年末なんだろうね」

「しかもクリスマス前よ?」

「みんなそれぞれ忙しい時期なはずなのに」

「何でも幹事は麻生なんだってね」

「あー麻生くんか、懐かしい」


ぺらぺらと卒業アルバムをめくる。

うちの高校は1学年4クラスあって、

人数もそんなに多くないからクラスが離れていても顔と名前を知っているなんてことはよくあった。

麻生蓮くんはうちのクラス4組のムードメーカーだった。

明るくて、気さくで、スポーツ万能で、友達思い。

勉強はあんまり出来なかったみたいだけど、みんなに好かれてた。


「あの麻生だもん、何でも今コックやってるらしいよ?」

「え、そうなの?だってスポーツ系の専門行ったんじゃ」

「何か怪我したんだって、んで全部嫌になって家出して何も持ってなかったから道端で倒れたとこをあるお店のコックに見つけてもらって」

「それでそのまま?」

「うん、今はいっちょ前にチーフとかやってるらしい」


巴は高校の時から情報通だった。

誰と誰が付き合ってるとか、誰が告白した、とか。

先輩、同学年、後輩関係なく色々知ってた。


「忙しいんだって、でクリスマス前に休みが運よく取れたから集まろうって話になったって」

「へぇー。でもみんな来れるのかな?」

「女たちは結構休み取れるみたいよ?男どもはどうかねー」

「懐かしいね、みんな元気かな」

「他のメンバーはたまーに会ってるからいいんだけどね。今回はあんたよ、あすか」

「え、あたし?」


巴はずいっとあたしを指差す。

カップをテーブルに置いて、巴は言った。


「結婚式もそんなに大勢人呼ばなかったじゃない?」

「まぁね、高校の子達は10人くらいかな」

「結婚したこと知らないのもいるんじゃないの?」

「え、そうかな」


結婚式は親族だけで行うって話になって

でも誰か呼んでいいよって話になったので

10人ほど呼んだ。


「昨日麻生と電話で話したんだけど、あすかが来るの楽しみにしてたわよ」

「そうなの?」

「かなーり金垣と会うの楽しみ!って」

「まだ参加出来るかわかんないのにね」

「旦那忙しいの?」

「時期的にねー。一応届け出すって言ってたけど」

「いっそのこと旦那とあかねちゃん連れてきちゃえば?」

「うちの旦那結構な人見知りよ?」

「んじゃー無理だわ」


金垣というのはあたしの旧姓。

麻生くんは結婚式には呼んでないからきっと知らないのかも。


「あ、電話」

「旦那?」

「うん、ちょっと出るね」


電話に出ると旦那さんは少しだけ嬉しそうな声だった。

聞くこっちも嬉しくなる。


「休み取れた?うん、わかった。気をつけてね」

「取れたって?」

「うん、今月ほぼ休みなしだったからOK取れたって」

「これで参加出来るね」

「みんなに会えるの楽しみ」


ぺらぺらとアルバムをめくる。

クラスのページに行き着くと、巴の手が止まった。


「・・・あれから、藤崎くんとは?」

「・・・・・・」


巴の手元。

黒髪の彼は微笑んでいた。

あたしはそれを見ながらただ首を振っていた。


「そ、だよね」

「もう、会うこともないっていうのが最後の言葉だもん」

「・・・同窓会来ると思う?」

「・・・来ないと思う。結構人見知りあったじゃない?」

「そだね」


泣きそうになったのを我慢して、

巴を見つめた。

察したのか巴は、アルバムを閉じた。

















わかってた。

わかってたはずなのに。

まだ心のわだかまりは消えていない。

隠し続けていた、あの頃の気持ち。

誰もが抱いたことのある、その思い。


あの頃のあたしは毎日が楽しかった。

でも今は?

楽しいけど、無理してない?

ねぇ、あたしは何がしたいの?



同窓会、その言葉が少しずつ現実味を帯びてくるのにそんなに時間はかからなかった。

ども、ゆチャンです。

少し遅くなりました。

少しずつ確信に迫っていきますよ!

詳しくはブログで↓

http://ameblo.jp/ychan-kk/


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