看護実習生分娩室で妊婦様からの愛
インターンシップで産科に配属させていただいた時の出来事
インターンシップに参加できる学年になりました。夏休みを利用して行われる病院主催の看護学生対象の病院実習。学生控え室に集められた看護実習生。
よつ葉の配属先は「産科」。指導看護師さんに着いて配属された病棟に向かう。
指導看護師さんに連れられ担当患者様に挨拶に向かった。
「今日からお勉強にきた菜須さんです」
と紹介され病室に残りコミュニケーションタイム。
今日の午後辺りに分娩になりそうな妊婦さん。経産婦さんで4人目の赤ちゃんの出産。
陣痛が段々強くなってくる。腰を擦ったり押したり。モニター波形を確認する。指導看護師さんに子宮口の開き具合を確認するよう言われる。初めての産科実習なので子宮口の開き具合と言われてもピンとこない。
指導看護師さんに教えてもらい子宮口の開き具合の確認方法を患者様で直接教えてもらう。
「子宮口6cm」まだまだだね。
「菜須さん、10cm開いたら分娩室ね」
指導看護師さんに言われる。
陣痛の合間は、今までの痛みが嘘かのようにひいていく。
「菜須さん、将来は産婦人科希望なの?」
「できたら[NICU]希望です」
「頼もしいわね。頑張って。それじゃあ、まずこの子を取り上げて」
と言ってくださった。経産婦さんは、子宮口の開きが早い。痛みの感覚が短くなり子宮口を確認させてもらう。
学生を嫌がらず勉強させてくれる事に、真摯に向き合う。
「子宮口確認しますね」
妊婦さんの下半身へ回り子宮口の開き具合を確認すると全開大に開いている子宮口。ナースコールで報告。
指導看護師さんが病室に来ました。よつ葉に分娩室へ移動介助を指示しました。
車椅子を持ってきますね。と声をかけたら、今のうちなら歩けるよ。と仰いました。
母って強いなぁ……。と思いました。
妊婦さんのペースに合わせ、分娩室に向かう。途中陣痛に見舞われることなく分娩室に到着する。
分娩台に寝てもらい、下着を脱がせて足を固定し出産に向けての準備が行われていく。
陣痛の波がだんだんと強くなる。汗を拭いたり声をかけていたとき、担当妊婦さんから声がかかる
「菜須さん、あなたはここでこんなことをしていないで、あっち側に行って看護師の勉強をしなさい」と仰った。
指導看護師さんに
「こっちいらっしゃい、勉強させていただきましょう」
と言っていただきました。妊婦さんの下半身側に移動して見守る。
お産が進み、赤ちゃんの頭が見え始めた。医師が医療用ハサミで会陰切開をして裂けるのを防ぐ。
少しずつ頭が出てくる。頭の一番大きい部分が出たらするんと首までがでた。
助産師が赤ちゃんの脇に手を差し込み陣痛の波に合わせて引っ張りました。
するん。
頭が出てからは、あっと言う間でした。へその緒で繋がれている赤ちゃんとお母さん。とても神秘的でした。
「あのお……」
産婦さんが声をかけてきました。
「どうかされましたか?」
近くにいた看護師さんが対応する。
「へその緒、良ければ菜須さんに切らせてあげてもらえませんか? ここまで支えてくれたから立派な看護師さんになってもらうためにプレゼントしたい」
と仰って下さいました。医師が手際よく準備していた。あとは切るだけの状態になっていました。
「ありがたくそうさせていただきなさい」 と指導看護師さんに言ってもらい医療用ハサミでへその緒を切らせていただきました。
元気な男の子、産湯を使い綺麗に身支度をしてママのところへ連れていきカンガルーケアの時間に寄り添わせていただきました。
指導看護師さんとママとの会話に心が熱くなりました。
「この子は産まれながら大役をしましたね」
「看護を学ぶ学生に大きな勉強をさせてあげる大仕事を見事にこなしました。大きくなって、ボクは産まれるとき看護師さんを育ててあげたんだ!って自慢しても良いよ」
とお話しされていました。
この優しさは今も、忘れることなく覚えています。
その子もいまは、5ヵ月とすくすく育っていると思います。
素敵な出産に立ち合う事ができました。
長岡更紗さま、素敵な企画に参加をさせていただき本当にありがとうございました。
パパママ誕生企画ということで、参加資格のないよつ葉でしたが、インターンシップで産科実習の時の事でも良いと、参加を快諾して下さいました。更紗さま、ありがとうございました。