八 大型の異形討伐完了
だが、狼の異形の巨体は倒れはしなかった。
「どうすれば······」
ディーナは下唇を噛みしめる。
「あの······僕に任せてくれませんか?」
「ウェルグ!? 本気!?」
エリッサは、正気を疑うような眼で見る。
「うん」
「わかった。話を聞こう」
そこへ一人の裁司者が来て、「ディーナ隊長、群れの異形は片付けました!」と告げる。
「わかった! では大型の異形を引き付けていてくれ!」
「了解しました!」
「話の続きを」
そうウェルグに続きを促す。
しばらくして、話は終わったらしくディーナ、ミーフェア、エリッサは戦いに戻っていく。
ただ、ウェルグだけは、輝きを放った槍を手にしたまま動かない。
他の者達は、大型の異形との攻防を繰り広げている。
異形は、大口を開け狂暴な牙で襲いかかる。
「きゃあ!」
攻撃はかわすがミーフェアは、体勢を崩して尻餅をついてしまう。
異形は再度、ミーフェアに襲いかかる。
「ミーフェア!」
ディーナが援護に入ろうとする。
だが、間に合いそうにない。
「そうはさせない!」
エリッサは手にした鏡の剣で、異形の眼に斬りかかる。
剣はすぐに崩れさってしまう。
(ウェルグ······まだなの?)
エリッサは、ウェルグの方を一瞥する。
すると、彼は準備が終わったとばかりに頷く。
手にしていた槍は、更に輝きを発し、大きさも巨大になっていた。
(もうこれ以上、人が死ぬのは見たくないんだ!)
「穿て!」
叫んだウェルグは、槍を投げ放つ。
放たれた槍は、光速で異形の巨体を貫いた。
大型の異形は、か細い鳴き声を上げて倒れこんだ。




