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裁きを司る者達  作者: 志野夕刻
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六十三 最終目的




 「着いた······」

 エリッサの視界には、壮大な王城が映っていた。

 足を進めていく。

 城との距離が近付いてくると、地面に転がっている屍に気付いた。


 「······ひどい」

 エリッサは、体の一部が無くなっていたりする死体や、血の染みとその臭気に顔を歪める。

 さらに歩みを進めていくと、より一層血の匂いが強くなる。


 城内に入る扉からだ。

 見れば、大きな扉は開いたままになっている。

 エリッサは、扉から中へ入っていく。


 城内も同じ有り様だった。

 複数の酷い屍。床に付着している血液。

 「うっ!」

 エリッサは思わず、右手で鼻と口を覆う。

 血の匂いが酷いためだろう。


 (この様子じゃ、間に合わないかもしれない。それでも······急がないと)

 エリッサは全速力で走り出した。




 「あれは······!」

 階段を上がった通路の先に、倒れている一人の裁司兵がいた。

 まだ息があるらしく、立ち上がろうとしている。

 エリッサは近付いて、しゃがみこむ。

 「大丈夫ですか!?」


 「君は······?」

 男は息も切れ切れに問いかける。


 「わたしは、ディーナ分隊長と同じ隊のエリッサ・ファイスニッドです」


 「そうか。急いでくれ。王が危ない······。玉座の間は······わかるか?」

 「いえ」

 「玉座の間は······」

 裁司兵の男は、玉座の間の場所を教え、その後に力尽きた。


 エリッサは、再び駆ける。




 「ここだね······」

 エリッサは玉座の間の扉を見据える。

 装飾の施された扉に、手をかけゆっくりと開く。


 エリッサは中に入り、表情を変えた。

 広々とした空間には、複数の裁司兵の屍。

 さらに奥を見る。

 一人の女性が立っていた。

 背中の中間位まである金髪。

 その髪の毛先には癖がある。


 (間違いない······。メフェリアだね。でも、王国準裁司は?)

 エリッサは、王国準裁司を探すため、視線を動かす。


 すると、気になる一点に目がいく。

 (あれは······もしかして)

 メフェリアの横に転がっている屍。

 その姿を注視する。

 明るい茶色の髪。

 長い白のローブ。

 胸に見える、紋章の枠の色は銀。


 その姿を見てエリッサは確信する。

 王国準裁司ケルヴィンだと。

 (何がどうなってるの? なんで、王国準裁司が? そういえば、国王は······)


 「いた······」

 見れば、国王は床に座り込んでいる。

 何やら、メフェリアと話しているようだ。


 「······もう、オルドヌング王国は終わりだ。殺すがいい」

 王は諦めの表情で、だが堂々とした態度でそう言った。

 「もちろん、殺す。でも、殺すのは一瞬だから。それじゃ、つまらない」

 メフェリアは右手をかざす。


 「待って!」

 突然響いた声にメフェリアと王が反応する。

 メフェリアは振り向く。

 「あなた······何しに来たの?」


 「あなたを止めにきたんだよ! メフェリア・ノーレッシュ!」

 「そう······。じゃあ、消してあげる」

 「その前に、王国準裁司はあなたが殺したの?」

 「そうよ」

 「なんで、仲間を殺したの?」


 メフェリアは冷めた目付きで答える。

 「ケルヴィンとは、最終目的が違っていたから。私の目的は、幸せな人達全員を消すこと。でも、ケルヴィンの目的は、国を変えるために王になることだった」


 「幸せな人全員を消すって······。なんでなの?」

 「私は幸福な人達が許せない······。だから、消す。邪魔するなら、あなたも消してあげる。この罪悪の力で」

 メフェリアは、右手を前へかざす。


 「なら、わたしは裁司者として、メフェリア、あなたを裁く!」

 エリッサも右手をかざして、臨戦態勢をとった。











 次回、エリッサとメフェリアの戦いが始まります。

 宜しくお願いいたします。

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