六十一 後を追う
アーマイゼは叫ぶと同時に、螺旋の刃を爆発的な速度で伸び進めていく。
「なっ!?」
ウェルグの、手にしていた槍が弾き飛ばされる。
アーマイゼは、急いで駆け寄っていく。
「ジュート! 大丈夫?」
ジュートは、その声に反応して目蓋を開ける。
「アーマイゼ······?」
「······そうよ。私よ」
「元に戻ったのか······」
ジュートは、目尻に涙を浮かべ、アーマイゼを抱き寄せる。
「良くわからないけど······。苦しいわ、ジュート」
「悪い、アーマイゼ。つい······」
ジュートはアーマイゼを離す。
そんな感動の雰囲気の二人に、割って入るように、ディーナは進み出る。
「悪いが、ジュートとアーマイゼ。お前達二人は、国に仇なすという反乱に手を貸している。まして、アーマイゼ、お前は罪悪の力を持っている。どんな理由があろうと、生かしてはおけない」
ディーナは右手を前へかざす。
「まずいわ。逃げて! ジュート!」
アーマイゼは、ジュートを庇うようにディーナの方へ向き直る。
右手をかざして、螺旋の刃を形成。
その刃を伸び進めていく。
「させません!」
ミーフェアは、鉄槌の賢者の大槌で受け止める。
以前とは違い、螺旋の刃の勢いが弱いらしく、難なく防いだ。
「炎の刃よ。地を駆けろ!」
ディーナは、炎の刃を放った。
二人目掛けて、路面を駆けていく。
ジュートは、アーマイゼを抱えて、かわす。
「アーマイゼ。俺は、お前が元に戻ってくれたのに、失うなんてごめんだ。一緒に逃げよう」
「ジュート······。はい」
アーマイゼは、優しく口角を上げた。
ジュートは彼女を抱えたまま、ディーナ達に背を向けて駆け出す。
「待つんだ!」
ウェルグは、二人目掛けて槍を放る。
だが突如道に、幾つか巨大な螺旋の刃が形成され、防がれた。
道が螺旋の刃で塞がれ、三人は追うのを諦める。
「くっ。逃がしたか」
ディーナは下唇を噛む。
「ディーナ、仕方ないよ。今は、エリッサの後を追おう」
「ウェルグ、悪いが、あたしはそろそろ限界だ。力を使いすぎた。先に行ってくれ」
「分かった。ミーフェアはどうする?」
「私は、ディーナを一人にはして置けないので。ウェルグさんだけで、後を追って下さい」
「うん、分かった」
ウェルグは頷いて、駆け出した。
次回、エリッサが登場します。
新たな力をそろそろ登場させます。
宜しくお願いいたします。




