六十 響く声
今回、予告していた通り、驚きの展開を終わりで出します。
ただ、驚いてくれるか自信がないです。
それと、戦闘が多めになっています。
あまり、会話がないです。
それでは、本編をどうぞ。
今度はウェルグが仕掛ける。
槍を前へ真っ直ぐ構えて、突撃していく。
それを見てジュートは、上段から下段へと剣を構え直す。
ウェルグは、相手が射程に入ったところで、右手の槍で突く。
ジュートは左手の剣で槍を払い、距離を詰めようとする。
だが、ウェルグは右手の槍を消すと、左手で持つ盾を前面に押し出し、続けて突進していく。
ジュートは右に跳んで回避する。
すかさず、右手の剣を振り下ろす。
その刹那、相手を一瞥したウェルグは、防ぐのは無理だと判断する。
そのまま駆ける速度を上げて、剣が振り下ろされるより速く、通り過ぎた。
「なっ!?」
ジュートの剣は空を斬る。
ウェルグは、地面に足を摩れさせて止まり、すぐ相手の方へ向き直る。
右手に槍を顕現し、再度突撃していく。
ジュートは、二本の剣を下段に構えて備える。
その構えを見てウェルグは、右手の槍を放り投げた。
ジュートは槍を、左手の剣で払って防ぐ。
ウェルグは、駆ける速度を上げながら、右手に槍を顕現する。
距離を詰めたところで、相手の剣を槍で払う。
剣が宙を舞っていく。
ウェルグは、左の盾を前へ構えてさらに距離を詰める。
そのまま、盾が胴に当たり衝撃を加えた。
ジュートは後ろへ吹っ飛び、地面に背中を打ち付ける。
「ぐっ!」
ジュートは咳き込み、その後、ゆっくり起き上がっていく。
(こいつ、さっきと比べて動きが変わったな······)
ジュートは、腰から一本のナイフを、左手で取り中段に構える。
右手のロングソードも中段に。
ウェルグは、三歩下がって距離をとる。
次の瞬間、相手目掛け駆けていく。
距離を詰め射程に入ると、右手の槍で突く。
ジュートは、左手のナイフで払って止めつつ、距離を詰める。
すかさず、右手のロングソードで、頭部を狙って突き入れる。
ウェルグは盾で防ぐ。
(······盾の欠点は視界が塞がること。もらった!)
ジュートは槍と盾を押さえたまま、さらに距離を詰める。
そして、右足でウェルグの脇腹を蹴った。
ウェルグは横に倒れる。
ジュートは、倒れている相手に近付いて、ロングソードを突き付けた。
「今度こそ、終わ······」
最後まで言い切らない内に、甲高い音が響く。
ジュートは目を疑った。
自分の剣が払われ、止められていたからだ。
いつの間にか、ウェルグの左手に盾ではなく、槍が握られている。
「油断したね」
ウェルグは立ち上がり、もう一方の槍で、相手のナイフを弾きとばす。
「終わりだ」
右手の槍を構える。
「くっ」
ジュートは、腰からナイフを取ろうとする。
「そうはさせない!」
ウェルグは、その手を槍で突き刺した。
血が流れ落ち、地面に染みを作る。
(······ここまでか)
「殺せ······。負けだ」
ジュートは、右手の剣を捨て目を閉じる。
「分かったよ」
ウェルグは、右手の槍を相手の手から引き抜き
、構える。
この時、ディーナ達と戦っているアーマイゼは、ジュートの方へと余所見をしていた。
ウェルグの槍が、ジュートの喉元目掛けて、突きだされた。
この瞬間、アーマイゼの瞳に輝きが戻っていく。
視界に入っている状況が呑み込めた時、彼女は叫んだ。
「ジュート!」
今にも、散ってしまう花を思わせるような、声が響いた。
今回も、読んで下さった皆様、ありがとうございます。
次回でジュート達との戦いは終わる予定です。
予定通りいけば、次の次でエリッサが登場します。
個人的にも楽しみです。
次回も宜しくお願いいたします。




