五十一 折れない二人
(なんだ? あれは? ミーフェアと、四年も一緒にいたが見たことない力だ······)
「あなたがいけないんですよ。ディーナ」
ミーフェアは、右手をかざしたまま言葉を発する。
「天からの災厄よ。空より来たれ」
すると暗雲が垂れ籠めてきて、急速に日が陰っていく。
太陽が雲に覆われる頃には、雷鳴が轟く。
「なんだ!?」
「もう終わりですよ、ディーナ。この力はあらゆる天災を、呼び寄せることが出来るんです」
「まだだ! 諦めない!」
「無駄ですよ」
瞬間、雷がディーナ目掛け落ちる。
だが、右へ跳んで紙一重でかわす。
「くっ!」
ディーナはすぐ起き上がる。
「ミーフェア! 何があったのか理由が聞きたい!」
「また、理由、ですか······。しつこいですね。あなたも」
再び、雷が落ちる。
ディーナは又も、ぎりぎりで回避し、そして立ち上がる。
「ミーフェア! 理由を聞かせてくれ!」
三度目、暗雲の一点が輝き、雷が落ちる。
ディーナは前へ転がり、ぎりぎりでかわす。
立ち上がり、「ミーフェア! 理由を聞かせてほしい」と訴える。
「しつこいです······」
「しつこいと言われようが、あたしはお前の親友だ」
「まだ、わかってないんですか······? ディーナ······あなたといた時間は嘘だったんです。わたしはスパイだったんです」
(あたしは諦めない。あたしを認めてくれて好きだと言ってくれたエリッサのためにも······)
ディーナは、きつく表情を引き締める。
「スパイでも構わない。一緒に過ごした四年······あの数々の笑顔さえ、偽りだったとは思えない。だから、理由を聞かせてほしい」
「······」
ミーフェアは、口を閉じたまま開かない。
(私は······私は! なんで、退いてくれないんですか。······あの時殺さなかったのは、ディーナのことが大切だからなのに。絶対に退かせてみせます)
「······ミーフェア?」
「天からの災厄よ、地より来たれ」
(お願いです、ディーナ······。退いて)
突如、大地が揺れ出す。
「くっ! これは地響きか!」
ディーナは、立っていられなくなり膝を着く。
それは、ミーフェアも一緒だった。
「ディーナ! 大丈夫!?」
エリッサが心配そうに声をかける。
「ああ! 心配するな! それよりもそっちも戦闘中だろ」
「うん」
「お話は終わりですか? もうかわせませんよ? ディーナ」
(確かに、まずいな。このままでは······死ぬ)
雷鳴が轟く。
一回。二回。三回。
(······あたしに力があれば······。親友の······。ミーフェアの······力になれるのに!)
暗雲の何点かが輝く。
刹那、幾つもの雷が降り注ぐ。
(力があれば······!)
突如、ディーナの体が赤く輝きだした。
今回、区切りの良いところまで打ち込んでいたら、三時間程かかってしまいました。
次回は、個人的に好きな回です。
ディーナの見せ場です。
宜しくお願いします。




