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四 戦闘開始
すぐに他の者が、裁きの力を使って異形を両断する。
「大丈夫か!?」
「ああ······」
「皆周囲に気を付けていてくれ!」
取り仕切っているのは、腰まである赤い髪の女性だ。
手慣れた様子から軍の者だというのが分かる。
一同、周りを警戒する。
すると、周囲の茂みの中を何かが動く音がする。
「なんてこった······」
現れたのは狼の異形の群れだった。
牙は長く、体長も通常の狼より一回り大きい。
何より、眼から感じる印象が異常だ。
狂暴性を感じる瞳。
普通の異形の目付きではない。
皆、放心しているなか先陣を切る者がいた。
赤い髪の女性は、攻撃を仕掛ける。
異形目掛けて、炎の刃が大地を駆けていく。
大地を削りながら進んでいき、両断する。
それでも止まらず、後ろの異形も巻き込んでいく。
「皆、あたしに続け!」
その言葉を口火に、一同は戦い始める。




