四十二 鏡の剣と変化
光が最高潮に達すると、緩やかに鎮まっていく。
すると代わりに、右手が輝きだす。
エリッサの右手に、鏡の剣が顕現していき、それが終わると光は収まった。
いや、刀身に光が移っている。
「わあ、綺麗」
エリッサは、鏡の刀身を眼前に持ってきて、見入っている。
「エリッサ。それ、何なんだろう?」
「······なんなのかは、わかるよ。伝わってくるから」
エリッサは突然、歩き出す。
歩き出したかと思うと、木のところまで近づき、幹を斬りつけた。
「どう?ウェルグ」
「どうって何か変わった?」
「変わったよ」
エリッサはそう言いつつ、手にしたままの鏡の剣を見せつける。
「そうか。剣が粉々になってないんだ」
「うん、それに、ね。鋭さが増しているんだよ。ほら」
見れば、木の幹に付いた傷は、剣で斬る浅さではない。
ウェルグはへぇと感心している。
「でも、それだけ? 他にも変わったことはある?」
エリッサは微笑を浮かべる。
「あるよ。でも秘密だよ」
「秘密が多いね」とウェルグは思わず笑ってしまう。
エリッサは強い眼差しで「それより、早く合流しようよ」と切り出す。
ウェルグは、えっ、と間の抜けた声をだした。
「もう、メフェリアと戦わなくていいの?」
「うん。それより、ディーナ達との合流が大事だしね。行こうよ」
ウェルグは相槌を打つ。
二人は、共に駆け出した。




