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三十九 抱えて
エリッサも鏡の欠片を顕現していく。
「お願いだから······死んで!」
「エリッサ!」
エリッサが攻撃を仕掛けようとした時だった。
ウェルグは、突然エリッサを抱えて、林の中へ逃げ込んだ。
「なっ!?」
ユアは二人を追おうとするが、メフェリアは静止する。
「私に任せて」
「ウェルグ! 下ろして!」
「そうする訳にはいかないんだ。それに······」
ウェルグは後方を一瞥する。
後ろから、白い球体が複数迫っていた。
ウェルグは、懸命に紙一重でかわしていく。
かわしきった後も、再び白い球体が飛んでくる。
それさえもウェルグは、死に物狂いでかわす。
左前へ。右前へ。
しばらくすると、メフェリアの攻撃が飛んでこなくなる。
諦めたようだ。
それでもウェルグは、エリッサを抱えたまま駆けていく。
十数分して、林内の木の生えてない開いた場所にでる。
「ウェルグ! いい加減下ろして!」
「分かった」
ウェルグは、そっと足から下ろす。
エリッサは、地に足を着け立ち上がると、再びメフェリアの元へ行こうとする。




