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三 討伐任務と西の森
「もしかして緊張してる?」
ウェルグの様子がおかしいのを見かねて、エリッサは尋ねる。
「うん、不安なんだ······。こんな大規模な任務は初めてだから」
「そうだよね。裁司軍の人達もこんなにいるしね。わたしも、少し緊張してる」
エリッサは一瞬視線を下げる。
「······でも、討伐任務頑張ろうね!」
そう青色の瞳をウェルグに向けながら、背中を叩く。
「うん」
その後も二人は会話を続け、そうしているうちに西の森に到達する。
森へは幾つかの集団に分かれ、入ることになった。
エリッサはウェルグと一緒だ。
行軍中、ふと茂みが揺れる音がする。
鳥が羽ばたく。
「なんだ。鳥か······」
ウェルグはひと安心する
その後も進んでいくが、任務対象の異形が現れない。
さすがに疲れたので、皆休憩を取る。
十分程経ったところで、異変は起きた。
「うわぁ!」
一人の男が、狼の異形に上腕を噛みつかれている。




