三十四 分かれ道
エリッサ達は、都市を出てから数時間、馬を走らせていた。
後方には、まだ追手がいる。
「くっ! まだ追ってきているな」
ディーナは、後方を忌々しそうに一瞥する。
「しつこいね」
エリッサは、追手に対し毒気づく。
「それより、見てください! 森の入口ですよ!」
ミーフェアは前方を見据え、高らかに声を発した。
エリッサ達は入口目掛け、馬の速度を上げる。
後方の追手も、馬を更に速く走らせる。
エリッサ達は入口に差し掛かり、数秒後、森へと入る。
十分後、追手との距離は中々開かない。
四人は焦り始めていた。
いずれ、馬に限界がくる。
そこを狙われたらまずいと。
ふと、ディーナの視界に入るものがあった。
二つに分かれている道だ。
まるで、エリッサ達のこれからを示す道のように思える。
ディーナは、あらんかぎりの声で叫ぶ。
「皆、ここからは二手に分かれて進む! あたしはミーフェアと行く! ウェルグ! エリッサを頼むぞ!」
ウェルグは強い目差しで頷く。
もうすぐで、分かれ道に差し掛かる。
四人にとっての分岐点に。
ディーナとミーフェアは左に、エリッサとウェルグは右の道に入っていく。




