三十三 都市の外へ
「もう少しで門だ!」
ディーナは角を右に曲がる。
三人も続く。
「見えてきましたね」
ミーフェアは安心した表情になる。
「でも、この時間だから門が開いてないよ!」
エリッサは焦る。
「僕に任せて! 出でよ、輝きの槍!」
ウェルグの右手に槍が出現する。
その槍を構え、輝きの力を高め始める。
ビュッ!
ふと、風を切る音が聞こえた。
「攻撃してきたか」
ディーナは、後方を確認しつつそう呟く。
遠距離攻撃が更に飛んでくる。
「ウェルグの邪魔はさせないよ!」
エリッサは、展開した鏡の欠片を射出して、相手方を攻撃していく。
当たりはしなかったが牽制にはなったようだ。
ウェルグの槍は大きさを増していた。
だが、門を突破するには足りない。
エリッサは鏡の欠片を操って、後方の裁司者達を抑えていく。
門まで六百メートル。
「くっ、駄目だ! もう門まで距離がない」
ディーナの言葉に、エリッサは問う。
「じゃあ、どうするの!?」
「決まっているだろう」
ディーナは、後ろのエリッサへ振り向き、勝ち気な顔で笑う。
笑ったかと思えば、すぐに前を向き門を見据える。
「ウェルグ! あたしとミーフェアが力を放った後に槍を放て! エリッサは後方を牽制していてくれ!」
門まで残り二百メートル。
「行くぞ! 大いなる豪炎よ!」
「出でよ。鉄槌の賢者」
ディーナは巨大な火球を放ち、ミーフェアは賢者三体の大槌を放り投げる。
「穿て!」
最後にウェルグが、大きさを増した輝きの槍を放つ。
槍は高速で、大火球と大槌に追い付く。
そして三つの攻撃によって、門は破壊される。
エリッサ達は馬に乗ったまま、都市の外へと躍り出た。




