三十 罪悪の力
「その前に······。あなた達は、王国準裁司ケルヴィンと繋がっていて、しかもメフェリアの仲間ですか?」
王国裁司はヴィネラ達に問う。
「何のことかわからないわ······。話はそれで終わり?」
王国裁司は、やはり、といった様子で「はい。······参考になりました」と答える。
「そう······。ジュート! ここはアーマイゼに任せるわよ! 屋内じゃ、私達も危ないし」
ジュートと呼ばれた剣士の男は了承する。
「ああ、分かってる!」
ジュートとヴィネラは数歩下がる。
エリッサ達も再度、臨戦態勢に入る。
だが、アーマイゼは微動だにしない。
却って、不気味だった。
痺れを切らしたエリッサは、無数の鏡の欠片を展開させ射出する。
アーマイゼはそれでも動かない。
残り、六十センチに迫った時。
アーマイゼの眼前に、螺旋状の刃が複数出現し、防いだ。
「なっ······」
エリッサは一瞬、呼吸をするのを忘れたように驚く。
アーマイゼは、螺旋状の刃を四つ展開する。
次の瞬間、螺旋状の刃は伸び進んでいく。
エリッサ達は、必死の表情でかわす。
刃は、エリッサ達の後ろの壁や床を破壊していった。
「なんて狂暴な力だ」
ディーナは立ち上がりながら、背後の通路の有り様を一瞥して、そう口にした。
「まさか······」
王国裁司は異様なまでに動揺している。
「あの力は······罪悪の力······!?」




