二十八 悪夢
金髪の女の子は、笑みを咲かせながら男女の大人と手を繋いでいる。
歳の差を見るに親子だろう。
実に楽しそうに話している。
ふと、両隣から両親の姿が消える。
女の子は泣きそうになりながら、懸命に探す。
「パパー! ママー! どこにいるのー!」
女の子はいつの間にか、路地裏に入っていた。
人気もおらず、その寂しさを感じる風景に堪えきれず、駆け出す。
「きゃっ!」
女の子は、足をもつれさせ転んでしまう。
「うぅ······うっ······」
瞳から涙が溢れていた。
「パパ、ママ。······どこ?」
不意に音が響いた。
女の子は、パパとママかもしれないと思い、次の角を左に曲がる。
そこで目の当たりにしたのは、思いがけぬ光景だった。
「あっ······。パパ······ママ······」
女の子の両親は血まみれで倒れていた。
それと両親を見下ろしている少年、少女。
女の子に気付いたようで振り向く。
少年は灰色の瞳。
少女は琥珀色の瞳。
それらの色の瞳が、女の子を見据えていた。
「エ······ッサ!」
「······うぅん」
「エリッサ!」
エリッサは、赤い髪の女性によって、夢から現実に戻された。
「エリッサ。うなされていたが大丈夫か?」
「ディーナ······? それよりも、なんでこっちの牢に?」
「それは私から説明しましょう」
ディーナの後ろから、王国裁司が進み出る。




