二十七 牢獄
王国準裁司と呼ばれた男は、とてもそうには見えなかった。
爽やかで少年のような顔立ち。
だが外見はともかく、彼は間違いなく王国準裁司だろう。
白のローブの左胸に施された紋章。
その枠の色が銀だからだ。
王国準裁司は微笑を浮かべ、椅子から立ち上がる。
「それにしても、嗅ぎ回っているのは誰かと思えば、君とはね。ディーナ・S・アスクト分隊長。······連れてきて悪いんだけどね。君達には牢に入ってもらうよ。国家の犬である君たちに嗅ぎ回られると面倒だからね」
「なっ!」
エリッサ達は驚きを隠せないでいる。
「なんのつもりだ!?」
「どういうことですか!?」
「説明する必要はないさ。おい」
王国準裁司は指をぱちんっと鳴らし、合図する。
部下の裁司者達は、エリッサ達を抑える。
「放せ!」
「なにするの! 放して!」
エリッサ達は抵抗するも、問答無用に連れていかれる。
エリッサ達は別々の牢に入れられていた。
目が見えないよう布で縛られ、手足も縄で拘束されている。
エリッサは、なんでこんなことになったのか考えていた。
(······分からない。でも、ここから脱出しなきゃ。わたしにはまだ、目的があるから······)
それから、エリッサは脱出方法を考えるが、思い付かずに、いつの間にか眠りに落ちていた。




