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二十六 王国準裁司
エリッサ達は、なんで同じ裁司者に取り囲まれているのか、分からない。
「どういうことでしょう?」
ミーフェアは困惑した顔で問う。
「あたしも分からない。だが、街中で戦う訳にもいかないだろう」
「······」
エリッサ達は付いていくしかないと、無言で頷き合う。
三十分程して、巨大な建造物の前に着く。
裁司協会だ。
エリッサ達は不思議な気分に囚われた。
自分たちも裁司者なのに、こんな形で協会に来るなんて、と。
「さっさと入れ!」
裁司者達に促され建物内に入る。
エリッサ達はそのまま無理矢理に歩かされ、ある扉の前で止まらせられる。
一人の裁司者は扉をノックし、「失礼します!」と入っていく。
「お前達も入れ!」
エリッサ達も促され入室し、背後で扉の閉まる音が響いた。
「やぁ。無理矢理連れてきて悪かったね」
そう言葉を発したのは、椅子に座りながら机に両肘を乗せ、組んだ手を顎下に当てた姿勢の男だった。
少年のような瞳でエリッサ達を見据えている。
ディーナとミーフェアの表情が驚愕に変わっていく。
「王国準裁司様!」
二人は同時に叫んだ。




