二十四 奇妙な三人組
エリッサ達は南部の都市にきて、翌日、情報を得ようと動き回った。
めぼしい情報はなく、残り一人の王国準裁司がいる都市を目指すべく、南下することを決める。
翌日、早朝に出発して、昼過ぎに都市ヴェークシュタットに立ち寄る。
馬の休息のためだ。
四人は、一応情報収集をしようと、一旦別れようとする。
ミーフェアがふと、何かにぶつかる。
「すいません」
「······ああ、別に大丈夫だ」
男は切れ長の目をしており、左腰には短い剣、長い剣の二本を差している。
どうやら剣士みたいだ。
「気を付けなさいよ! あんた!」
そう一喝したのは男の後ろにいた、両の側頭部で髪を結って垂らしている女性だった。
エリッサが女性の言い方にいらっとくる。
「ねぇ······」
「本当に申し訳ありません」
ミーフェアは再度謝る。
「本当に大丈夫だ」
男は大丈夫だと言うが、女性のほうがミーフェアを睨み付ける。
男は、ツインテールの女性を見る。
「おい、ヴィネラ。許してやったらどうだ?」
ヴィネラは前に進んで、ミーフェアの前に立つ。
「そうねぇ······。あんた名前は?」
「······ミーフェア·セントニスです」
「そう。私の名はヴィネラ·アーデ。覚えておきなさい! まあ、特別に許してあげるわ」
ヴィネラは人差し指で、ミーフェアを差しながらそう言った。
ふと、男の隣にいた女性が服の裾を掴む。
女性は、等間隔ごとに切り揃えた前髪で色は黒だ。
瞳は、生気を失っているように見えた。
「どうした? アーマイゼ」
男は問う。
アーマイゼと呼ばれた女性は答えない。
エリッサ達は思った。
奇妙な三人の男女だと。




