二十二 認めてほしい
ウェルグを吹っ飛ばした異形を、ミーフェアは賢者の大槌で潰す。
「きりがないですね」
ディーナはつり目を更にきつくさせ、手を上にかざす。
(こんなところで、やられるわけには······いかない!)
ディーナの周囲を炎が包んでいく。
包みきると、次の瞬間、炎が外に広がっていく。
「ディーナ! あれをやるつもりですか!? 止めてください!」
ミーフェアが止めようとするも、聞こえていない。
「ディーナ!」
エリッサは叫び、鏡の剣で炎だけを斬る。
炎は一時的に揺らいだだけで、意味はないが。
「わたし達まで巻き込む気なの!?」
広がりかけていた炎が消えていく。
「エリッサ······。すまなかった」
「何があったの?」
エリッサはそう問いつつ、鷹の異形を鏡の欠片で刻んでいく。
ウェルグやミーフェアは、猪の異形の相手をしていく。
「あたしは、ただ認めてほしいんだ」
(母上と父上に······)
「今のままじゃ、認めて貰えないよ。ディーナ」
「······! そうだな。認めて貰える筈がない······」
「そうじゃなくて、一人で先走っていたら、誰も認めてくれないよ。わたしは、ディーナのこと少ししか知らないけど、認めているんだよ。実力はあるし、皆を引っ張ってくれる」
ディーナは苦い表情をしつつ、「それは、買いかぶり過ぎだ。あたしは大した人間じゃない」
「ううん、違うよ。大した人間だよ。ディーナは」
エリッサは、否定を否定で返す。
ディーナは俯いていた顔を上げ、エリッサの方を一瞥する。
彼女は異形への攻撃の手を止め、微笑んでいた。
信頼している表情だと一目で分かる。
(······こうも信頼されては、応えないわけにもいかないだろう)
ディーナの表情と体に変化が訪れていく。
表情からは気負いが、肩からは力が抜けていく。
「もう、大丈夫そうだね」
「ああ、助かった。礼を言う」
「ところで、さっきのあれだけど······」
エリッサは耳打ちをする。
「どう?できそう?」
「ああ、正直苦手なんだがな。やってみよう」




