20/71
十九 出立
五時間程が過ぎ夕刻になる頃、エリッサ達は再度、王国裁司に呼ばれた。
「翌日、ディーナ、ミーフェア、エリッサ、ウェルグの四名は南部に潜入任務のため、出立すること。これは王の命である」
王国裁司は、堅い口調で告げる。
「了解致しました」
四人はそう答える。
「ディーナ、無理をしてはいけないよ」
「兄上、あたしはもう子供ではないのです。心配は無用です」
「ミーフェア。ディーナを頼むね」
「はい、お任せください。ディーナの親友として無理はさせません」
ディーナは、言わせておこうといった顔で、一息吐く。
その後、四人は「失礼しました」と退室していく。
「さて、私も······しないとね」
王国裁司は、一部分しか聞き取れない声で呟くと、椅子から立ち上がった。
翌日の早朝、エリッサ達は準備を済ませて城の前にいた。
皆、裁司者の証である上着を着ていない。
潜入任務だからだろう。
四人は馬に跨がる。
「よし、では行くぞ!」
ディーナの声と共に、出発する。




