十八 王国裁司の予備
沈黙を破ったのは、エリッサだった。
「王国準裁司って、王国裁司の次に権力を持っている······」
続きを、王国裁司が補完する。
「そう。そして王国裁司の予備とも呼ばれている。そんな地位にいる者が亡くなれば、王都の警備も厳重になるというもの」
「どうするつもりなのですか?」
ディーナの問いに、王国裁司は答える。
「国王様は、潜入調査のための隊を編成なさるつもりだ。ディーナを推薦したから、安心して良いよ」
「兄上······。勝手なことを······。ただし、ミーフェア達も組み入れてほしい」
「わかった。それはそうと、二人は新人だね?」
「はい」
エリッサとウェルグはそう答え、自己紹介をしていく。
「よろしく頼むよ、二人とも。ディーナ、新人の二人はどうかな?」
「ウェルグとエリッサは先の討伐任務で活躍してくれました。実力は申し分ないと思います」
「それなら、何も問題ないね」
「それと二つ、報告があります。ユア·レイティヒと森で戦闘になりました。もう一つは、気になることを······。『時間稼ぎにもならない』と」
「わかりました。国王様にも報告しておきます。退室していいですよ」
四人は「失礼しました」と退室する。
ディーナは気合の籠った表情をしている。
(······この任務を成功させてみせる。そして、あたしを認めて貰うんだ)




