九 つかの間の休息
皆、異形が倒されるのを見て歓喜の声を上げる。
「やったね!ウェルグ!」
エリッサはウェルグに詰め寄る。
「うん。だけど、もう戦えそうにない」
そう言い、地に腰を下ろす。
「本当にありがとう」
近づいてきたディーナは、頭を軽く下げる。
「あたしは、ディーナ······いや、ディーナと読んでくれ。年齢もそう変わらないだろうし」
そう言うディーナは、十八歳位に見える。
身長が女性にしては、一六九センチ程はあるので、それ以上にも見えるが。
「ウェルグです。よろしく。こっちは、エリッサです」
「あぁ、よろしく」
そこへミーフェアが来て、おっとりしたたれ目でエリッサとウェルグを見つつ、「二人とも、先程はありがとうございます」と礼を言う。
「大したことはしてないですし······。ただ······人が死ぬのをこれ以上見たくなかっただけで······」
ウェルグは、何か思うところがある表情をしている。
他の三人はその様子を見て、一瞬押し黙る。
「······改めまして、私はミーフェアといいます。よろしくお願いします。二人とも」
エリッサとウェルグは「よろしくお願いします」とどこか堅い。
「三人とも堅い!共に戦ったんだし、もっと柔らかくいこうじゃないか」
ディーナの提案に対し、エリッサから笑みがこぼれる。
「それもそうだね」
ウェルグやミーフェアも笑ってしまう。
一同の安らいだ雰囲気の中、足音が近づいてくる。
次回以降から、エリッサにも焦点が当たります。
話の流れ上、ウェルグに焦点が当たっていたので。




