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タバコ畑に風が吹く  作者: るりまつ
7/17

 


 着替えた新しいシャツの胸ポケットに、またキャラメルの箱をきちんとしまって、ボクとママはおトイレから出た。

 そこは広くて、さっきは急いで歩いてたから気がつかなかったけど、色んな車が停まってて、男の人がいっぱいいた。

 なんだかみんな、変な黒い、仮面ライダーのショッカーみたいな格好してたり、寒いのに半分裸でいたり、ちっともまともじゃなさそう。

 顔も真っ黒で怖かったから、ボクは下を向いて、ママの手をしっかり握った。  

 ママはそんな人達の事なんて気にもしてないみたいで、ボクと手をつないで堂々と歩いてく。

 

 ショッカー達がこっちをジロジロ見てるのが分かる。

 ボクはママのことをそっと見上げる。


 長い髪の毛が、風でサラサラしてて

 スカートもふわふわヒラヒラしてて

 サングラスから高い鼻がツンとしてて……


 誰かが、からかうみたいに口笛を吹いた。けど、ママは聞こえないフリ。

 何だかボクの方が恥ずかしくて、また下を向いちゃった。

 それから、胸ポケットのキャラメルの箱があるかどうか、指でそっと確かめた。


 ママはどんどん歩いてく。いったいどこに行くんだろ?

 今度こそボクは、ちゃんと前を見た。

 そしたら目の前に 青い光が飛び込んできた。


 ボクはびっくりして立ち止まって、そのまま足が動かなくなった。

 風が吹いてて、しょっぱい匂いがして、ボクは鼻をクンクンさせた。

 それからしっかり目を開いて、ぐるりと周りを見渡した。


 青いのは空だった。おっきな空。


 でもそれだけじゃなかったんだ。空だけじゃなかった。

 ママが笑った。それからボクを抱っこして言った。


 「ほら、海よ。」












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