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騎士になる為に 【14】

 「白服ヴァイストートはどうして悪魔に味方する」


 「何を勘違いしてるんですか天薙紅刃。悪魔の味方と言うなら今の貴方も同じような者じゃないですか。貴方から感じるオーラは悪魔と差がない。いや、そもそも悪魔や天使どちらも変わりがないじゃないですか」


 ミーシャは突撃時に開けた大穴。穴と言う表現は適していない。崩落した壁から外を見下ろし、慌てた様子でグリフォンに騎乗した。


 おそらく、下で大騒ぎになっているのだろう。突撃したグリフォンに気づかない人はいない。ましてや、ここは王立のシャフレヴェル騎士学園。休みと言えど誰かしら異変に気づいて報告するはずなのだ。


 「えーでは、またよろしくお願いしますねセシリー理事長」


 そう言葉を残し朔乃とアリシアを連れていく。


 下での大騒ぎの次は報告を受けた憲兵達が集まる事は容易に想像はつく。見つかるのは避けたい。その為には離れる選択をしなくてはならない。

 

 理由は簡単。世間を騒がしている白服。俗に呼ばれるヴァイス死神トートはすでに異端の集団として知れ渡っているとしても、道化師クラウンは公にしていないからだ。所謂、影の存在。


 白服が悪としての位置づけはされても、道化師を正義と認識している者はいない。道化師のメンバーを隠す理由はセシリー理事長しかわからない。


 それでも知っているのがここにいる俺だ。進むべき選択を間違えないように冷静に物事を俯瞰ふかんして捉える。もしも、セシリー理事長と白服との繋がりを知られれば、ここにいられなくなる。そうなることで生じる学園の治安の崩壊。何よりも手にいれたい協力者になりうる道化師のメンバーを手放し兼ねない。セシリー理事長の疑いを解くには至らなくとも守る必要性はある。俺の考えは何ら変更はない。では、この崩落させたミーシャを憲兵達に告げるか、これも否だろう。俺にとっても憲兵にうろちょろ嗅ぎまわれるほど邪魔なものはないからだ。


 学生である一条穂波、ノエル・アークライト、ジキル・ヴォルフガング・ハイドこの三人は学園の生徒であるのならこの場にいても不自然ではないか、これも否だ。職務質問でもされた時に理由に統一性がとれなかった場合に余計に疑われる。疑われると言っても、崩落させた奴がグリフォンだと分かった上で憲兵が来るわけだ。となると、目的が壁の崩落だとするならまずはこの場にいる者を疑うよりも安否の確認をされる。結局、最善としてとれる行動は現場に居ない状況であることだ。

 

 俺とアレクサはもちろんだが、目撃者全員がこの場を離れる事によって憲兵の捜査を撹乱する事ができる。そこが大切だ。


 「セシリー理事長。この場にいちゃ面倒です。その前に身を隠しましょう」


 俺はセシリー理事長に提案し武装をみな解除。活躍できずにいたアレクサは名残惜しそうに姿を消した。


 ジキルの防御でアリシアの狂った攻撃から被害を受けなかったセシリーもまた状況を把握した。


 「そうですね。この場を離れましょう。それが互いにとって得策ですものね。それと、助けていただいたお礼に天薙さんにお教えします。貴方をここの学園に入れた黒城は今の貴方と同様の儀式を行っていましたよ。その時は今から約十年前です。その時に呼び出したのはルシフェルではなく瓜二つのミカエルです。つまり、貴方のその剣、アレクサちゃんはミカエルと言っていいかもしれませんね」


 「やはり、儀式は行われていたんだな。俺の身体も依代よりしろじゃなきゃアレクサが説明できない」


一刻も早くこの場から出なければ行けない状況だ。


「理事長その話はここを出た後で話を聞かせてもらう」


 ドアの奥で階段を登って来る足音が響いて来る。


 『えー憲兵本部に通達。只今、現場に向かっています』


 この学園を取り締まる憲兵は当然ながら、教師でもある九条だ。彼女の声も壁を伝って響いてきた。


 「ジキル。頼ってばかりですまないが、この抜けた壁から外に降りる。お前の魔技で足場を作ってくれ」


 「ノエルも魔技で下の奴らから見えないように幻想ミラージュをかけてくれ」


 「ほーい」


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