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騎士になる為に 【13】

 「虚像と言えどこのレーヴァテイン。玉座に巣くう魔王をも取り込む力はある……と思う」


 「なんだよ思うって。緊張感ないな」


 「しょうがないじゃん。本物なら凄いよ。あの子が何でレーヴァテインを持ってるか疑問なくらいだよ。だってシンモラが守っていた九つもの世界。いや、ヘルに干渉したダグのように凄い大英勇の素質があるって事になるんだよ」


 「で、そのレーヴァテインを模倣できるアレクサはもっと凄いわけだ」


 「いやーそれはどうかな」


 ジキルの魔技による拘束が緩んだ隙に形成した腕を外し、また形成。拘束を打ち砕き完全に解き離れたアリシアは冷気を充満させる。


 拘束して動けない状態の間にアリシアは十分な魔素を魔力に変えて練っていたと言うこと、使いなれた者ができる転換技法だ。


 「もはや炎は裏目かもな」


 「あんだけレーヴァテインの事言ってたのにまだ使ってないよ? 私の黄金に輝く炎舞を見せられないの?」


 剣はもとより紅刃の鎖も金属製の武器は相性が最悪だ。下手に触れると皮膚がくっつくほどに霜が覆い尽くしている。当然と言っちゃ当然だが、吐く息も白く呼吸も浅くなりつつあるほどだ。


 アリシアの冷気は葵の純粋なものではなく、本質はドライアイスによるもの。この室内は大量の二酸化炭素に覆われている事になる。室内はよりによって木製の床でなければ壁でもない。全体的に状況は最悪になってしまった。


 「科学的なことは私わかんないけど、紅刃が言いたい事は薄々わかる。みんな死ぬねこれ」


 「そうだよ。二酸化炭素の比率が高まると火は弱まり、酸素は上にたまる。その集められた酸素に火を近づけた瞬間」


 「おお! 爆発だ。上だけ」


「おおう。その通りだ。戦力で圧倒していたはずなのにな、こんなんじゃ抑止力になろうとほざいた俺が恥ずかしい」


窓もドアにも霜が張りついているが、燃える虚像のレーヴァテインの熱で持ちこたえている状況が続いている間は酸素はまだあり動けないわけではない。


「ジキル動けるなら石を窓にぶつけて穴を開けろ。ノエル幻想ミラージュいけるか。一条はアシストしてやってくれ。俺はアリシアを引き付ける」


「うぃ。暖気と冷気がある今ならいける。私のメルヘンへようこそだよって何この鳴き声? なんか外から聞こえない?」


 ジキルが窓ガラスに向かって石を何度もぶつける衝撃音に交じり珍しい獣の雄叫びが轟いた。


 『グゥルルフォーン』


 その鳴き声の正体は外からの物凄い衝撃とともに姿を現した。大きな鷲。いや違う。ライオンのような図体をした。そう。グリフォンと呼ばれる魔法生物だ。


 「ふざけるなこんな狭い所に大勢あつまんじゃねぇ。誰の仕業だ」


 それにこたえるように白服の者がグリフォンの背から降りフードをめくり顔を見せた。


 その顔は雰囲気が落ち着いていて一瞬じゃわかりにくかったがあの顔はまさしくミーシャ・ハーネットだ。


 「アリシアさん。結局、悪魔に頼ったんですね。にしても自我まで奪われてしゃべる事もできないとかこの間の老人以下なのか欲が強いのか知らないですけど。貴方は戦力としてこちら側に来てもらいます。鍛え直してもらいましょう我が王の調教で。後、理事長も昨日はありがとうございました。しっかし何故天薙紅刃が二人も、ふざけないで欲しいですね。あっそうだ天薙紅刃さんこの子もらって行きますね」


 「朔乃か!? なんでそこにいるんだ」


 「この人、一人でバカみたいぐっすり寝てたからそのまま連れ出しました」


 「朔乃にどうするつもりだ」


 「それは秘密です。と言うより詳しく私も知りません我が王の命令でしたので。グリリンはアリシアさんを捕獲して」


 「どこいく」


 「バカじゃないならわかるでしょう。それと、話変わりますが、さっきから私に向かって剣を構えてるそこの女は誰ですか、我が王と似たオーラをわずかですが感じる。気にくわないです」


 「ちょっと待って。貴方はほんとにミーシャですよね」


 「えーと。あぁアリスさんの腰巾着の」


 「これ貴方のカチューシャ......だよね」


 「あぁ確かに。ありがとうございます。グリリン長い無用ですよ。今は殺り合う必要はありませんから行きますよ。アリシアさんもいくら自我がないにしてもあのままじゃすくなからず先に死んでましたよ。まぁ魔法の素質はあるようなのでいいですが」


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