騎士になる為に 【12】
ジキルが紅刃の拘束の魔技の使用により、アリシアの動きを制限する。この魔技にはデメリットがあり使用者も動きに制限がかかる。もとより大剣を解放せずに床に突き刺し盾のように防御体制をとるジキルはうまく扱っているほうだ。
動きの鈍ったアリシアは重力が前方から感じるように壁に身体を打ち付けた。すかさず、ジキルの盾が次々に壁のアリシアに向かって放たれる。両肩、両足、そして、腹を圧迫する。
ジキルは紅刃の魔技使用による拘束を解くもジキル自信の魔技で盾を枷に変え拘束を続ける。
アリシアは拘束されながらも冷気を大量に発生させ室内を霜が覆う。
紅刃はジキルがアリシアに対抗している間に魔力をさらに練り続け、もう一つの剣を作り出す。
その剣はアレクサの白い刀身と反対に黒い日本刀のような形状をしている。
「アレクサ俺の魔力を糧に実体を持てるか」
「実体するに足りる魔力量だからいけるけど、こんな相手に必要?」
「いいんだ。ここで実力を見せておけば抑止力になるだろうさ」
「なるほどね。でも君のうーん? そっかルシフェルの力も持ってるんだもんね。ちょっと嫉妬しちゃうな。認識する力か君にとっての第二の魔技でもあるって事ね。私の力と合わせりゃ言うなればほぼ神だよ君」
「神じゃなく魔神の間違えだろうルシフェルは。それはともかく、俺はすでに忠誠の儀を認識した。アレクサに展開出来るはずだがどうする?」
「なんと。恐るべきルシフェルの認識の改変……。いいですね。久々に戦いたいです」
「いや、対峙してもアレクサには悪魔を封印してもらわなきゃだ。実をいうと今、聖剣は……」
「うん。そういうことだよねわかってる。全部は言わなくていい。流石に未来の私の聖剣はルシフェルを封印してるってことでしょ。それはそれで皮肉だけど君のおかげで私とルシフェルが再び一つになってるんだなって思うとね」
「ジキルの魔技で抑えてるだけだからまた暴れられちゃまずいぞ」
「オッケーじゃ試して見ますか。君の認識した忠誠の儀と言うものをね」
「言っとくが従来型じゃなく俺風のアレンジしてあるからな」
アレクサは紅刃の魔力を糧に擬似的な肉体を手に入れる。
紅刃の持っていた。アレクサの剣は剣として顕現したまま擬似的肉体を手に入れたアレクサが握る。
――今のアレクサは目のやり場に困る。華奢な身体が露にって俺は仮にも神父だったんだぞ動揺するな。
忠誠の儀により武装は問題ない。魔素があれば展開する。
二人に言葉はいらない。握った手に互いの額をあて合う。それが二人の忠誠の儀の形だ。
二人は共鳴し光のサークルが暗い室内を明るく照らす。
アレクサはその身に白いドレスの鎧を纒う。
「――懐かしい武装」
過去を思い出し浸るアレクサはどこか安堵した表情になり天秤を掲げ調律する。
「天翼ノ天秤よ。私の王、天薙紅刃の魔力と私の魔力を均衡に」
まるで神秘な力。天秤は宙に浮き光のベールが包む。紅刃の魔力量とアレクサの魔力量を吸い上げバランスをとる。その魔力量は再び二人に均等に分配される。
アレクサは肉体を維持する為の魔力量を確保。紅刃は自ら魔力量を上昇できる為、アレクサが戦う為に必要な魔力量を貯める時間を短縮した事になる。さらにいえば紅刃はアレクサの力の恩恵である攻撃力の上昇を身に感じていた。




