無能騎士 【9】
続いて光の矢が額に突き刺さる。会長の矢は必ず必中するが、ガルムがあたりやすいように動きを鈍らすためでもある。本当に必中なら標準を定める必要がないのだ。
朔乃はレーヴァテインを逆手に持ち変え、動きの鈍ったガルムの脇腹を思いっきり切り裂いた。
さすがのガルムも力尽きたようで動きを止め横たわった。
それでもまだ、数頭いる内の一頭でしかなく。都合よく戦闘に合流しなかったガルムにはまだ、ダメージを与えられていない。
昨日のガルムとは明らかに個体差に違いがありすぎる。悪魔憑きはこんなにも脅威というわけなのかと思い知らされる。
屋上に向かって吠えるガルム達は校舎によじ登ろうとしていて戦闘には向かって来ない。
屋上に誰かいるのか。見上げてみると動く何かが俺達の方を見ている。人? いや、獣か、下からは特定ができない。でも、ガルム達はそいつを狙っているようにも見える。
(葵そっちはどうだ?)
(後もう少しといったところか。そっちは倒せたのだな)
(二人のおかげでな。それでも一頭。他のガルムは動きがおかしい。俺らを狙って来ないんだ)
(うぐぅ)
(大丈夫か葵)
(すまん。少し腕に傷をおった。お前も大丈夫か)
(まぁ何とかな。これが痛覚共有って奴なんだな。ハハハ)




