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無能騎士 【8】

 「シリル悪いけど葵のサポートに向かってくれ、それと、アリス会長には、シリル同様にガルムの視界を共有してもらえますか。可能なら俺達と下で協力をお願いします」


 俺達はガルムの群れと同じフィールドに立つ。ここからが戦闘だ。昨日のガルムに感じなかった黒いオーラなのかモヤなのか。それがなんなのかわからない。説明できない禍々しさは昨日の凶暴化した老人に近い。


 「天薙さん。あれはただのガルムではありません。いわゆる悪魔憑き獣鎧じゅうがいの状態だと思います。戦闘未経験の天薙さんが負える敵ではないと思いますが」


 「大丈夫よ昨日すでに人鎧と対峙しても逃げる事はしなかったもの。私は紅刃がやれると信じるから」


 「そうだ。俺はやれる。二人ともいくぞ」


 (葵もよろしくな。けして無理しないでくれ)


 (獣鎧かガルムは学園で飼育してる中でもランクは上だが恐れるに足らぬ。どれほど凶暴化してるか楽しみだ)


 (気を付けろよ)


 朔乃は唱える。


 「我、天月朔乃の名の下に一陣の風を纏いし炎の精霊よ今この刻、姿を現し加護をもたらさんレーヴァテイン!」


 朔乃は剣を抜刀しその剣は炎を纏いだす。


 「天月さんの精霊契約エーテルは火属性です。私くしは空属性と精霊契約しています。レーヴァテインは火の精霊の名前。私くしのフェイルノートが空の精霊の名前です」


 アリス会長は俺の隣で助言をくれている。


 「私くし達シャフレヴェル騎士学園の生徒達は精霊契約ができた者からそれぞれ役割を与えられます。そして公に騎士として名乗れるようになる。これは、精霊の力、魔技とは別の力」


 俺はこの戦闘で知識を与えてもらっている。


 「なぁ会長。王である俺が今できる事は見ているだけなのかな」


 「基本的に王は騎士にとってはサポート側です。痛覚共有がされる言わば呪いに近いこの忠誠の儀では互いに傷を得る為、王は最低でも自分の身を守るべきが本来の姿です。あなたみたいに同じ戦場には出てきませんよ」


 「そうなんだなやっぱり。でも逃げないぞ俺!」


 「天薙さん無交戦状態のガルム達の目線が校舎の上に向けられています。戦闘中のガルムに集中を」


 俺は朔乃の動きとガルムの動きを観察する。ガルムの行動パターンは爪と突進と噛みつき。朔乃は爪の攻撃に対し振り上げた時に後方にステップ癖があるのか慎重だ。突進には左右ステップ。噛みつき攻撃にはジャンプし、頭部を踏み台に後方へ宙返りと、繰り返しながらもレーヴァテインで少しずつ斬擊を入れる。炎の追加効果があるおかげか、ガルムは体毛が焼け縮れながら血が垂れる。それでも耐久が増しているのか、ガルムに蓄積ダメージはあるもののこれといった決定打になっていない。


 「朔乃の魔技はここでは使えないのか。多くのガルムが屋上を見ながら吠えているようだけど、いつ戦闘に参加するかわからない。強い一撃くらわせられないか」


 (私の魔技は炎じゃなく実際には風をあやつる魔技なんだけど。大技と言ったら炎帝王領域イグニスアークって技が、これはレーヴァテインと組み上げた技なんだけどね。私を中心に周囲を炎の領域にする技だけどまず無理ね)


 「魔技は自由ではないのです。私くし達は精霊契約エーテル忠誠ロインを多用する精霊騎士にあたります。確かに魔技マジッククラフトも仕様できますが条件は厳しいですね。基本的に魔技は精霊に嫌われていますので。忠誠の儀中では騎士は自分の魔技よりも王の魔技を仕様する事が可能ですのでそれをうまく活用します。」


 「そうなんですか。使えないわけではないなら今は朔乃に頼るしかない……」


 「えっあっそうですね。すいません。私くしとしたことが。難しい話をしていましたね」


 「会長も緊張されてます?」


 「どうやらそのようですね。私くしも援護に入ります」


 「お願いします」


 会長は深く呼吸をし、心を落ち着かせ精霊に呼び掛ける。


 「我が剣は敵を射ぬく矢となりて、敵を仕留めん。必中の弓フェイルノート」


 肩に下げていた弓は輝きを放ち始める。会長は朔乃と対峙するガルムに向かって標準をあわせ構えた。


 「天月さん申し訳ありません。私くしも共闘に加わります。」

 

 ガルムの突進に対し朔乃はサイドステップから遠心力でレーヴァテインを脇腹にくらわし、受け身をとりながらガルムの腹下を抜ける。


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