ペナルティ
説明回、まだまだ続きます。
「なんだよ。これ。どうなってんだよ」
メール内には配役以外にURLが一つ記載されていた。
そのURL先に飛んでみるとさっき太郎が見せてきたサイトだった。
そして新しい学校が追加されていた。それが自分の学校で、クラスで、自分の名前があったのだ。
そのページにでかでかと書かれていたのは「ゲーム開始」の文字。
「おい、真人。メールに記載されてるサイトって」
「太郎か。ああ、さっき見てたサイトだな。それに新しいページが追加されてるな」
「ああ、俺たちのクラスの名簿一覧だな。ご丁寧に」
「そういえば、真人。お前配役なにだったよ?」
「まだきちんとは確認していなかったな。というかお前乗り気だな」
「そうか?確かに非日常的な感じがしてわくわくしてるけどな」
「やっぱお前変態だわ」
「そうほめるなっての」
とじゃれあっていた時、勢いよく前方の扉が開かれた。
「お、開いてるじゃねーか。さっきまで開かなかったのにさ」
「黄村、さっさと部活行こうぜ、こんな面白くもないのに付き合ってないでさ」
「そうだな。もうこんな時間だし先輩にどやされるわ。緑谷まっはでいくぞ」
「ちょっと男子!勝手な行動しないでよ!」
黄村と緑谷を静止したのは一花だった。しかし、彼女の静止も聞かずに二人はドアの向こうに消えていった。
「えぶりわん!そうそういい忘れたことがあったよ。もし、るーるを守れなかった場合はぺなるてぃがあるからね」
二人が消えたのを確認したかのように放送が流れてきた。
「黄村くん、緑谷くん。ルール違反によりぺなるてぃがかせられるよ。今回は初回だから特別に軽くしておくけど今後はきをつけてね」
前方の扉が再び開かれたところには二人の姿があった。
ただ、さっきとは違う姿をしていた。
二人の姿は何かが足りない。人が普通にあるはずの何かがなくなっていた。
「おい、黄村、緑谷大丈夫か!」
すぐに駆け寄ったのは赤松、青井、桃川だった。この5人は仲が良く、はたからは全員が名前に色を持っていることからカラーズとあだ名がつくくらい5人一緒にいることが多かった。
「誰にそんなことされたんだよ。おい」
「まずは止血しないと!血が…血が…」
「誰かタオルか何か持ってないか早く持ってこい」
3人がそれぞれ声を張り上げていたが誰も動こうとしなかった。いや、動けなかった。今見せつけられている光景が現実だと理解できなかった。
黄村と緑谷はうなるだけで話をできるような状態ではなかった。
「お前らどけ。さっさと手当するから。それから真人、太郎手伝ってくれ」
名前を呼ばれ少し心拍数が高くなった真人はタオルを片手に現場に向かった。
そこで見た光景は「普通」ではありえない光景だった。
緑谷はあるはずの右腕がなくなっており、黄村はあるはずの左足がなくなっていた。
そのからは大量の出血をしていた。素人ながらこれは助からないだろうと判断できるほどにだ。
「おい、創大。お前、これ見て大丈夫なのかよ」
正直この場から早くいなくなりたかった。腹の底から何かがのどを通過して出てきそうだったから。正直なところ中途半端に生きている人を見ているほうが気持ち悪くなってくるんじゃないかと思うほどに気分が悪い。
「ああ、大丈夫じゃないさ。ただ、真っ先に処理しないとあとあとめんどうだろう?」
「お前、冷静っつか冷徹っていうか。なんかすごいな」
「そうか?お前の横にいるやつなんてこの光景見てにやにやしてるぞ」
「んなわけあるか!」
横を見やると顔を青ざめさせている太郎がいた。真人と太郎が持ってきたタオルで止血を手際よく行う創大。処置が終わるころには黄村と緑谷のうめき声はやんでいた。呼吸音はするので生きてはいるみたいだ。早急に病院にいかないといけないことには変わりはなかったがいける状態でもない。ここから出ない限りは。
「真人、太郎。それにカラーズの残り。この二人をみんなから見えないところに移動してくれ」
「創大、それってどういう意味だ」
「言葉のままだ。特に女子に見えないようにしてくれ。頼む」
「ああ、わかった。太郎、あっちにある個室に移動しよう」
「あっちの個室はあけれるのか?」
「ああ、外には出れないがこの教室を経由しないと出れない部屋は開いている」
「ということは個室以外にもあっちの図書室もあいてるのか?」
「そっちは行っていないからわからないが多分あいてるだろう」
この学校の教室には他の学校と違う施設が供えられていた。個人個々で勉強ができる個室が5つ、小さいが参考書などがある通称図書館と呼ばれる個室が1つ。これは学力の向上のために時間を有効に使ってもらおうという学校側の取り組みだ。学校のもくろみとは裏腹に学生たちの遊びの場となっていた。
「青井、赤松、桃井、聞いた通りだ。個室にこの2人を連れて行く。手伝ってくれ。くれぐれもほかの人にみられないようにな」