ルール
説明回
放送が始まるとなぜかざわついていた生徒たちは静まり返っていた。
放送から聞こえる声の不気味さと今おかれている状況の異常さで頭の整理ができていないのだろうと真人は考えた。
「みっなさーん。今から皆さんが行っていただく栄光なゲームの説明をしますね」
そんなのお構いなしに放送の声は続いていた。
ゲームの内容としては至極簡単なものだった。
今いる教室から隣の教室に移動することができ、すべての移動が完了したらゲームクリアというものだった。
隣の教室に移動する人を決める時間は1時間、それまでに移動しなければゲームオーバーとなる。
そして、それぞれに配役が割り振られる。
配役はす「羊」「狼」「犬」「猫」「人」のすべてで5つになる。
そして配役ごとに能力が割り振られている。
狼は羊と人しかいない場合、対象を選び殺すことができる。
犬は教室から教室に移動するために必ず必要な存在。
猫は教室に1人になると自殺する。
人は狼を見つけ出し退治することができる。
羊は何も能力がない。
と以上がそれぞれの能力になる。
「まんま橋渡しゲームの配役じゃないか。ただ、人がいるな。人の狼を見つけ出し退治するって能力がなんでいるんだ?」
真人は疑問に思った。ただの橋渡しゲームでは全員が移動するため、何かを排除するといった概念はない。それなのに今回のRPゲームではそれが存在する。あたかも疑心暗鬼になってくれと言っているようなものだった。
「はいはーい。えぶりわん!配役については理解してくれたかな?ここからがとっても大切な重要な説明になるよ!よーく耳をすまして聞いてくださーい」
いつの間にか全員が席についていた。放送を聞いているもの、スマートフォンと触っているもの。隣の人と話をしているとさまざまだった。
「各配役ごとに勝利条件が違います。全配役一貫して同じなのが最終的に隣の教室に移動していることです。ただそれだけじゃつまんない!そこで配役ごとで勝利条件をつけちゃいました。まず大きく分けて2通りになるよ。陣営って言えばいいのかな?羊、猫、人、犬の陣営と狼の陣営の2つです!まず、羊猫人犬陣営だけど最終的に隣のクラスにいれば勝利!ゲームクリアになるよ。狼陣営は最終的に最低でも1人殺している状態で隣のクラスにいることで勝利になるよ!」
「もし、勝利条件を満たしていない状態で隣のクラスに全員いけばどうなるんだよ」
だれかわからないがつぶやくように声が発せられていた。誰もが考えただろう状況だった。
「もし、勝利条件を満たしていない場合はその人は死んでもらうよ。げーむおーばーだね」
返事をするように放送が流れていた。さっきから殺すだの死ぬだのと流れてくるが全然実感がわかない。他の人もそうなのだろう、真剣に聞いているのは数人だけだった。
「さて、そろそろゲームを始めようと思うんだけどいいかな?今から配役をみんなのスマートフォンに送るから確認してね。確認のために10分の時間をあげるよ。そうだね、今からだとちょうど18時からスタートになるね。それでは諸君!健闘を祈る!」
放送が終わると同時にメールの着信音が無数に教室中に鳴り響いた。
真人はメールを開いて確信した。この放送が嘘を言っていない事に。自分たちがこのゲームに参加させられているという事実に。