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みおり的世界の捉え方  作者: 咲坂 美織
私が小説家を目指すまで。妄想の日々。
1/5

小学生から中学生まで

 何はともあれ、私がファンタジーの世界にどっぷりとはまりこんだのは小学校四年生のころだった。


 当時から好んで読んでいたのは剣と魔法の世界が舞台となり、お姫様や王子様が活躍するような物語。乙女思考もいいところだ。それから私の頭の中には常時お花畑が展開されることとなる。


 忘れもしない、当時の登下校。通学路をふらふらと歩きながら小学生の私は頭の中でとんでもないことを考えていた。


――ああ、目の前に車突っ込んでこないかなぁ……


 一応言っておくが、当時の私に自殺願望があったわけではない。断じて違う。

 ただ、目の前に車が突っ込んできて奇跡の確率で生還! なんて見出しでテレビに映ったり、格好いいお兄さんが颯爽と現れて「お嬢ちゃん、大丈夫かい?」みたいな展開を夢見ていたわけである。恥ずかしいことに。


 そんなことばかり考えているから当時はよく電柱にぶつかっていた。ごっつん。でも毎日めげずにそんな妄想に耽りながら日々を過ごしていた。


 それから、酷かったのは集会時。


 きっかけはよく覚えていないのだがたぶんテレビか何かのニュースで見たのだろう。そのまま真に受けるなんて当時の自分どんだけ純粋なんだ。


――ああ、突然テロ組織に占拠されないかなぁ……


 何度も言うが、自殺願望があったわけではない。断じて違う。

 当時の私は少々お転婆であった。はい。少しだけ。

 何度も流される悲惨なニュースを見て、私ならみんなを救ってみせると息巻いていたのである。なんとお気楽な思考だろうか。


 しかも校長先生のお話はそっちのけで私ならどう戦うかと脳内シュミレーションまで真剣にやっていたのがいただけない。よい子の皆さんはお話はしっかり聞きましょうね。


 と、まあ、こんな感じの妄想は小学校を卒業するまで続いた。よくもまあ飽きずにやり続けたものである。みおりの妄想力はこの頃に培われたといっても過言ではない。






 しかし、ここで私に人生最大の転機が訪れる。


 中二病との出会いである。


 私が中学に上がるまでは某動画投稿サイトの存在すら知らなかった。

 そもそもネット環境の存在を知らなかった。とんだ箱入り娘である。


 そんな純粋培養されていた私がネットの世界にどっぷりとはまりこむきっかけとなったのは中学時代の友人たちだ。


 私が通っていたのはいたって普通の公立校である。

 ……いや、普通というのは少し語弊があるかもしれない。

 通う生徒の半分以上が社長やら医者やら、いわゆる金持ちの子供たちに占められる、いたって普通の公立校だ。普通と言ったら普通だ。卒業した小学校のお隣。


 そんな中学だったのだが、一つだけまことしやかに流れる噂があった。


――○○中学の生徒にあったらオタクだと思え


 実はこの噂、ほぼ正しい。


 入学当時はクラスに一人か二人、オタクと呼ばれる人がいれば多い方である。……だが、卒業時には九割五分がオタクと呼ばれるようになっている。私たちは通称オタク感染症と呼んでいる。実に不思議だ。


 しかもなまじ頭が良いのがいただけない。なんなんだよあいつらあんなに毎日徹夜でアニメ見てるのにあんな化け物みたいな成績叩き出しやがって!!

 当時の私たちは自分たちのことを棚に上げて日本の将来を憂えたものである。こんな奴らが将来の日本を背負っていくのかと……。


 思うに、勉強で溜まるストレスをいじめなどで発散するのではなく、アニメやゲームにその情熱を捧げてストレスを発散していたのだろう。なまじ金持ちなので注ぎ込む金はいくらでもある。羨ましいことに。しかしそれを健全と言っていいのか平和と言っていいのか……。


 なにはともあれ、そんな環境にいた私は例にもれずオタク菌に感染した。いや、感染させられた。

 一般的なサラリーマン家庭(というわけでもないが)にある私にはそれほど注ぎ込める金はない。ほとんど友人たちに(無理やり)貸し出されてはまりこんだ。私は悪くない。


 そんな当時の私に一番多かった妄想。


――ああ、幼馴染が引っ越してきて同じクラスにならないかなぁ……


 はい。元彼です。さーせん。

 小学生の時に引っ越して以来、中学にあがって少し疎遠になったのが寂しかったのです。くすん。

 まあ、幼馴染に関してはいろいろ妄想していたけれど、割愛。ちょっと恥ずかしすぎる。きゃっ。


 まだ私が生きてきた年数は短いけれど、一番乙女思考だったのはこの頃じゃないかと思ってる。

 中二病と出会ったというのになんとまあ、乙女だ。


 実際、幼馴染以外の妄想で一番多かったのは実は自分は某大金持ちのご令嬢でそう遠くない日に迎えが来るのだとか、ちょっと漫画の読みすぎだ。恥ずかしい……。


 数少ない中二病的妄想は集会の時が多かった。


――実は自分は恐るべき身体能力を持っていて、突如学校を襲う悪の組織からみんなを守るためここにいるのだ


 ……小学生の頃の妄想のテロ組織が悪の組織に変わっただけである。なんとまあ自分の脳みそのお粗末なことか!


 何度も言いますが、よい子の皆さんは校長先生の話が長くてもしっかり聞きましょうね。




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