七話
アタシと桜はとあるカフェに来ていた。
ドラマとかに出てくる、落ち着いた雰囲気のカフェで、カウンターとテーブル席がある。
またクラシックが、静かな店内に響きわたる。
あれから、様々な店に行ってみたがどこも人が多く、疲れたので、休憩したいアタシと桜はこのカフェにたどり着いたのだ。
アタシはコーヒーとショートケーキを頼み、桜はコーヒーとイチゴのタルトを頼む。
話は今日いった店の話から、文化祭の話になる。
「そういえば、文化祭てもうすぐだよな?」
「うん、そうだよ。ユカリは文化祭好きなの?」
「いや、嫌いだったよ」
「だった?」
「うん、アタシてさ、見た目こんなんじゃん、だからさ誰も寄り付かなくてさ、文化祭はもちろんのこと、行事ごとはいつも1人だったんだよ」
「ユカリ……」
アタシが過去を話すと桜が励まそうとしているのか、何度も口を開いては閉じている。
「でも、今回は楽しみなんだよ」
「それって……」
「桜と友達になれたからな」
「そっか……」
「それでさその……文化祭一緒に回らないか?」
「うん、いいよ」
「ありがとな」
「どういたしまして」
「んじゃ、そろそろ帰りますか」
時間を確認すると、帰るには丁度よい時間だった。
「うん、そうだね」
アタシと桜は会計を済ませて、店をあとにした。
「この公園通ったほうが、近いよ」
桜がそう言って公園に入る。アタシも後に続く。
公園は噴水が中心にあり、それを囲むようにベンチや木がある。
その他にはなにもなく、とても落ち着いた雰囲気だ。
それが、カップルには良いのか、公園にはカップルが多い。
「へぇー、こんな場所あったんだ」
「うん、わたしはよく通るからね。ユカリは知らなかったの?」
「まあな、こっちはあんまこないからな。てか、外事態あんま出ないんだよ」
「えっ? なんで?」
「人混みとか苦手なんだよ」
「そうなの、ごめんね今日誘っちゃて」
「いや、謝らなくていいよ。楽しかったし」
「そう、それはよかった」
桜がそう言って微笑む。
今日は本当に楽しかった。
いろんな店にいったことも楽しかったけど、やっぱり誰かとこうして遊ぶことは楽しい。
「あっ……」
桜がどこかを見ながら驚いた顔をしている。
アタシが桜の視点の先に目を向けて見るとそこには。
キスしている二人組がいた。
互いに目を閉じあい、唇を付け合うだけの優しいキス。
カップルが多いこの公園でキスは普通なのだ。
だから、桜もただそのことで驚くことはない。
それが、男女であった場合の話だが。
そう、アタシと桜が見たのは、女の子同士のキスだった。
七話目です。