五話
次の日。
アタシはある交差点で桜を待っていた。
この交差点は昨日桜と帰る時別れた場所で、今日一緒に登校する時の待ち合わせ場所である。
昨日一緒に帰る時、明日一緒に学校に行こうと約束したのだ。
アタシはケータイで時間を確認するとまだ待ち合わせには時間があった。
かなり早く来てしまった。
今日、桜との登校が遅れることを懸念したアタシは、待ち合わせの場所に三十分前には着くようにきた。
だが、今考えて見るとこんなに早く来る必要がなかったんじゃないか、と今さらながら気づく。
しかし、来てしまったものは仕方がない。
アタシはそれから数分待つと桜がこちらに手を振りながら、小走りでやってきた。
「おはよう、ユカリ」
「おはよう、桜」
「来るの早かったね」
「桜こそ、まだ待ち合わせには時間があるぞ」
アタシはそう言って、桜にケータイで時間を見せた。
「うん、ユカリと一緒にいくから、早起きしたんだ」
「アタシと同じだな」
「えっ、ユカリも同じこと考えてたの?」
「うん」
アタシが肯定すると、桜が微笑む。
「なんだか嬉しいな」
「うん? なにがだ?」
「同じことを考えてたことだよ」
「うーん、そうか?」
「そうだよ。だって、ユカリはわたしとの約束を守るために早く来てくれたんでしょ」
ああ、そういうことか。
桜はアタシが約束を守ったことが嬉しかったのか。
うん、待てよ、最初に桜はアタシと同じて、言ってたよな。
となると桜も
「約束を守ってくれたのか」
「うん、そうだよ」
なるほどな、確かに嬉しいよこれは。
些細なことかもしれないけど、アタシにとっては新鮮で嬉しかった。
「で、嬉しいでしょ?」
桜がアタシに問いかける。
「確かにね」
「あとそろそろさ、学校行かない?」
「そうだな」
アタシはケータイを確認すると、かなりの時間が過ぎていたが、遅刻ということはないだろう。
「んじゃ行きますか」
「うん」
そうして、アタシと桜は学校へ向かった。
昼休み。
アタシと桜は屋上に来ていた。
教室で昼休みを過ごすという考えもあったけど、クラスのやつらの目が気になるので屋上で過ごすことにしたのだ。
休み時間、アタシと桜が話ていると、周りが静かになった。
まあ、理由はわかっているがあまり気分がいいものじゃない。
アタシたちは、昼飯を食べ終えて、たわいない会話をしていると、桜がなにかを思い出したようにきいてきた。
「ユカリ、次の休日暇?」
「うーん、とくに予定はないな、まああったとしてもマンガ読んだり、テレビを観たりだな」
「んじゃ、暇なの?」
「うん、暇」
「そう、そうなんだ」
桜が緊張した面持ちで顔を俯かせると、今度はなにかを決意した面持ちで、
「あ、遊ばない?」
「えっ」
遊ぶて、あれだよな、一緒にカラオケとかいったり、町をぶらぶらしたりとか。
「……嫌ならいいけど」
桜が不安そうにアタシを見つめている。
「嫌じゃない、ただ驚いただけだよ」
「そう、よかった」
ホッと桜が胸をなでおろす。
「それで、どこに遊びに行くの?」
「うーん、どこ行こっか」
どうやら決めていなかったらしい。
まあ、いいか、祭りは当日よりも準備のほうが楽しいていうし、当日も楽しむけどね。
それからアタシと桜はいろいろ考えたが、チャイムがなってしまった。
「いけねぇ、次小林先生の授業じゃん」
小林先生とは英語の教師で、授業に遅れた生徒にネチネチと文句を言う教師である。
「そうね、急がないとネチネチいわれるね」
桜がクスッと可愛らしく微笑む。
実際可愛いんだけど。
「いそぐぞ、桜」
アタシは桜に手を差しのべると、桜がアタシの手を握る。
「うん」
そうしてアタシと桜は手を繋ぎ、教室に向かった。
さすがに、教室の前では離したけどね。
あと授業は間に合わなかったな。
五話目です。
あと、もうすぐテストがあるので投稿はおくれます。