二話
………………は?
今のはなんだろう、告白かな、でも普通告白て女は男に、男は女にするもんじゃなかったかな。
いやまてよ、確か女の子が女の子を好きという話を聞いたことがある。
百合。
そうか、彼女は百合なのか…………
いやまてまて、勝手に彼女を百合扱いするのは失礼じゃないか。
でも感じがいということもあるんじゃないか、付き合いにしたって、友達や先輩後輩なんてこともあるんだしな。
アタシは確認のためもう一度彼女をみた。
彼女は頬をほのか赤く染め、アタシに熱い視線を送っていた。
ふむ……これは愛の告白だね、恋愛初心者のアタシにもわかる。
…………で、どうしようか。
友達になりたいだったらうれしいんだけど、恋愛となれば別だ。
アタシが決めかねていると彼女は妥協案を提示してきた。
「恋人がダメなら……その……わたし……友達からでもいいから」
「友達……」
友達……それは、アタシが一番望んでいるものだ。
そして、一生出来ないものだと思っていたもの。
友達を作ろうとしたこともあった。
だけど、いつもからまわりして、ただあいてを怖がらせるだけだった。
そんなことをしていると、みんなはアタシに敬語を使い初めた。
友達同士で使う必要のない言葉。
まるで、上のモノの、機嫌をとるような言葉。
アタシはその言葉に壁を感じた。
だが、アタシは気づいていた。
そうさせているのは、アタシ自身。
アタシがみんなに恐怖を与えたから、みんなはアタシと距離をおいた。
単純なこと。
相手が怖ければ関わらなければいい、それでもダメなら、機嫌をとり自分に危害が及ばないようにすればいい。
アタシは気が付けば泣いていた。
アタシは自分が考えてた以上に友達という存在を望んでいたらしい。
「どうしたの?」
彼女が心配そうにアタシを覗き込んでくる。
アタシは答えられずただ泣いていた。
友達になりたい、経緯はどうあれアタシはうれしいんだ。
アタシは感情のままに彼女を抱きしめる。
最初は戸惑っていた彼女だが、次第に落ち着いて来たのであろう。彼女は手を後ろに回しアタシを抱きしめる。
「ねぇ、わたしたち友達になろう」
彼女がアタシに呟く。
「うん」
アタシは更に強く彼女を抱きしめた。
彼女の温もりを感じるために。
時間にしたら数分かもしれない。
アタシは彼女の温もりを感じた後、抱擁をといた。
彼女は名残惜しそうな顔をしていたが、残念ながら授業がもう始まる時間だった。
アタシたちは互いに自己紹介と電話番号を交換した。
彼女はアタシを知っていたが、アタシは彼女の名前も知らなかった。
そのことを彼女に話したときは「あなたは見ず知らずの人と抱きあうほど警戒心がないの」とねちねちといわれた。
きっと自分の名前を知らなかったことを怒っているんだろう。
でも、謝ったら許してくれた、きっと許し合えるのが友達なんだなと思いアタシはまた泣いてしまった。
まあ、すぐに泣き止んだけど、てかアタシ涙もろかったんだな。
その後、アタシたちは二つの約束をした。
一つは放課後ともに帰ること。
そしてもう1つは、
「よろしくね、ユカリ」
「うん、よろしく桜」
互いに名前で呼び合うことだ。
手直しをくわえました。