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溺れ

「……やっぱりここで力をつけた方が良いんじゃないか?」


「……大丈夫ですよ。……きっと」


一週間も経たずに戻って来た人が言えるセリフではないけれど。


「はぁ……あんまり無理はしないでね。毎回瀕死で帰って来られたら気が気でないよ」


「善処します」


……何か違う気がする。主に前提条件が。


「で、今度は何日後に倒れ込んでくるのかしら?」


「……本当に気をつけます」


椛さんと別れた後もしばらく視線を感じたがあえて気にせずに山を降りた。










僕は山を降りた後は前回の二の舞を踏まないように湖を遠回りして進んだ。そう、森だ。


森が森として機能するにはそれなりの水源が必要だから湖の側にあるのは普通の事だ。


この森に入って取り敢えず分かった事は茸が至る所に生えていることだ。森の空気は湖の霧だったり胞子だったりして視界は良くない。


「痛っ」


目の前の木にぶつかって転んでしまった。服が汚れてしまったので簡単に叩いて横に進むが、足元の土が無くなっ……え!?


何故か突然現れた水に全身入ってしまい慌てて顔を出すと周りにあった森が全て無くなっているように一瞬見えた。


所で何故一瞬なのか少し思った方がいるでしょう。一瞬森が消えた錯覚を起こしたと思った人は大間違いです。答えは簡単、僕がカナヅチで今顔を出そうとして沈んでいる真っ最中だからです。


……結構、深いな。










「イタタ……」


気絶してからどれくらい経ったのでしょうか。彼女の「マスタースパーク」を喰らって気絶している間にどうやら終わってしまったみたいです。門番兵に確認したので間違い無い筈です。最終的にお嬢様を倒したのは博霊の巫女みたいですが。


それよりも今大切なのは森から歩いてきた彼女の方ですね。わざわざ負けたこちらにすぐ取材をしようとする辺り幻想郷の狭さを感じます。


「痛っ」


……あんまり不用心に目の前にきたものですから……つい牽制の突きを軽く放ってしまいました。


彼女は起き上がって服についた土を叩いた後何故か横に進んで行きました。紅魔館は周りを湖で囲まれているので当然彼女は湖に落ちて…………………………上がってきません。


「門番兵、少しの間任せます」


溺れた彼女を助けに潜りました。……なんで私こんな事しているんでしょうか。










こんばんは、紅魔館メイド長の十六夜咲夜です。現在紅魔館は人間の魔法使いや博霊の巫女によって破壊された箇所の修復や、お嬢様方のご機嫌とりなどでメイド妖精全員が総出で事にあたっている最中に門番が仕事を増やしてきました。


『天狗が取材に来たので追い払った時に湖に沈んだ』などと明らかな虚偽を入れてきました。嘘をつけない性格みたいですからすぐわかります。


とりあえずその天狗を預かり、レミリアお嬢様に説明して一着お借りし天狗の服を脱がした時は本当に驚きました。どれだけ驚いたかというと叫ぶ寸前に時を止めていなければ私の評価がものすごい勢いで落ちる程のものでした。


天狗自体見たのが初めてですが、天狗が男女問わずスカートをはいていることを知らなかったとは言えません。それに何故だかこの天狗は下着が無かったので……どうしようもないので彼の服は後でどうにか調達しておきましょう。私の中の何かが崩れる前に……。










「…………コホッ、ケホ……ケホ」


椛さんとの約束を早速破ってしまいました。すぐ近くに誰かいるような気がします。椛さんはどんな表情でしょうか?目を開けたくありません。


「……あら、気がつきましたか?」


……声が違います。椛さんではないようですから安心して目を開けられます。


「あうっ!」


勇気がいりました。真っ赤です、そこら中が真っ赤っかです。目がしばしばします。


「目が痛いのですか?目薬ありますよ」


この痛みの原因は目薬では治らないです、むしろ……僕が言える立場ではないですね。


「すみません、此処は一体何処でしょうか?」


「紅魔館の客室ですね」


こうまかん?……名前だけ聞いても全然わからないですよ。取り敢えず外を見るために窓を開けましょうか。


「すみません、外を見たいのですけどいいですか?」


「では台座を持って来ますので少々お待ち下さい」


窓が高くて届かないのでメイドさんにお願いします。決して身長が低くて届かなかった訳ではないのです。


ベットに座っていては外は見れないので今度はちゃんと足が動くか確かめて…………わーお、ドレスじゃないの。


「失礼します。台座をお持ちしました」


早いな……まぁいいや。


「ありがとうございます。因みにこの服は一体……」


「メイドとして当然です。服については貴方の服が濡れそぼっているのでレミリアお嬢様の服をお借りしている状態です」


「そうなんですかー」


相槌をうちながら外を見るとまず見えたのが大きな湖。顔を出して左右を見ると山と森がなんとか見えた。


…………えーっと、湖があって、近くに森があって、その間(奥だが)に山があって……あ。


「……此処って少し前に紅い煙が出ていた……」


「正確には煙でなく霧です」


おお……つまりはこれを主のレミリアさんに聞けばそれなりのスクープになるということですか。


「台座ありがとうございました。それから出来ればレミリアさんとお話がしたいのですがよろしいですか?」


「わかりました。ではお嬢様にお聞きしますので少しの間お待ち下さい」


メイドさんが出てから少しして屈伸とかしていると


「失礼します。お嬢様の許可を頂きましたのでお連れに来ました」


言葉を代えても連行するとは穏やかではないですね。でもレミリアさんとお話が出来るのは良かったです。


「着きました。扉の先にお嬢様がお待ちしておりますが、くれぐれもご機嫌を損ねないようにして下さい」


「わかりました。…………ちなみに、もし機嫌を損ねたら?」


余談だが部屋を出てから10分以上は歩いてました。


「貴方がどうなろうと私は関係ありません」


……こういう具体的な言い方を避ける時って案外そうでもない場合が多いと思うのは僕だけかな?

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