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Part 2-2 Fate 運命

Father Daffi Square Times Square 7th Ave. W 47th St. Manhattan NY. 17:45 Dec 21th/

NDC HQ-Bild. Chelsea Manhattan NYC. NY. 17:57 Dec. 21/

902 Madison St. Brooklyn NYC NY. 10:11 21th Dec./

Golestan Palace Tehran Iran, 12:09 22th Dec.


12月21日17:45ニューヨーク州ニューヨーク市7番アヴェニュー&47番ストリート タイムズ・スクウェア ファーザー・ダフィー・スクウェア/

12月21日17:57ニューヨーク州ニューヨーク市チェルシー地区NDC本社ビル/

12月21日18:21ニューヨーク州ニューヨーク市ブルックリン マジソンストリート902番地/

12月22日12:09イラン首都テヘラン ゴレスタン宮殿







 数え切れないほどの明滅する赤と青の光りあふれるタイムズ・スクウェアに立っているのは緊急救命の職員や制服警察官だけ。いいや────。





 少数のスーツ姿のものらが場違いに思えた。



 ああ、今朝の三件の爆弾テロなんて────手始めだったのだ。



「──ジェニス! 聞いていますかジェニス捜査官!?」



 遠くに重なり聞こえているフェイザーや叫び声の様なイェルプらの電子音がまだ足らないとばかりに七番街に緊急車輌の到着を告げている。



 いきなり意識に同僚のコンラッド・シェフィールドの声が膨れ上がり顔振り向けた。



「大丈夫──大丈夫よ。何、コンラッド?」



「市警の刑事が見て欲しいものがあるそうで呼んでいます」



 うなづきジェニスは彼について瓦礫だれけの車道をブロードウェイの方へ歩き始めると、呼んでいるのが腰に片手当て険しい表情向けるスーツ姿の男がどこかの分署の刑事だと認識した。



 負傷者は死んだもの含め百三十七人。



 市内の救急車をすべて集めても足りず市警のミニバンや一般車輌まで動員して幾つもの病院へピストン輸送している。



 爆発は七カ所で起きて、最初の一つが破裂して人々が逃げだした前面の三方で二発ずつねらうように起爆し大勢が犠牲になった。



 ああ、神よと口にする緊急要員らがそこら中にいて懸命に動きながらも惨劇を嘆いている。



 呼んだ市警の刑事の元に行くと彼が足元を指差して喧騒の中で大声でたずねた。



「これは市警で!? それともあんたらが!?」



 ジェニス捜査官が刑事の足元に視線向けるとサンドイッチほどの大きさをした破損した電子基盤が転がっており、ジェニスと同僚のコンラッドがしゃがんでのぞき込むと見るからにタイムズ・スクウェアに不似合いなそれが何かの一部であるやも知れず、彼女は片手上げて大声で七番街側にいるフェズ(FBI)の鑑識の一人を呼んだ。



 そのカメラとジュラルミンケース提げた鑑識がやって来ると、二人が退しりぞき場所を代わり鑑識の職員が破損した基盤をのぞき込んですぐに断言した。



「これは爆弾の起爆回路の一部です。ガラス管の水銀セカンド・スイッチが残っている。傾けても起爆するんです」



 そう告げ鑑識職員がまず見つかった爆発物の一部を数枚カメラで撮り、場所が分かるように少しずつ離れ連続で写真に収めた。



「今朝のペン・ステーション駅らの爆破と関係してるのか!?」



 そう市警刑事がつっけんどんに問うた。



「まだ繋がりはないわ」



 ジェニスが応えると刑事が両肩すくめ不満を口にした。



「まだ今朝のテロの報告書にも手を着けてないのに、どうするんだ!?」



 それにジェニスは口で応えず同じ様に両肩をすくめてみせた。



 市警職員は何かとフェズ(FBI)に反感を持つ。こんな修羅場でさらにくだらない事で揉めたくないと彼女は思った。



 まだ現場にはすえた匂いが漂っている。



 この破壊力は肥料から作った爆薬ではないとジェニスは考えた。幼い頃から故郷のアイルランドで何度も爆破テロを見ていて知っていた。



 IRAよりも手慣れている。



 プロの軍人の様な手際だわ。



 この国を破壊するために外から入り込んで来た連中だろうか。思い込みで捜査してはいけないとクワンティコで叩き込まれた事をジェニスは一瞬思いだした。





 寸秒、今度は別な場所にいるFBI鑑識職員に呼ばれジェニスとコンラッド捜査官の二人は瓦礫を避けながらその職員の元へと急いだ。











 社長室で眼を通さないといけない急ぎの書類の山を少しでも減らそうと飛ばし読みしサイン入れているとAIマザーが音声で告げた。



「エレナ・ケイツから内線です。御繋おつなぎ致しますか?」



 マリア・ガーランドは今朝の連続爆破テロの情報収集に何か進展があったのだと思いマザーに繋いでと命じた。



『情報部代理長のエレナです。先ほどまた爆破テロがありました。場所はタイムズ・スクウェアです。大規模な被害が出ています。こちらに来られますか?』


 マリア・ガーランドは右手に持ってる書類を握り潰し応じた。



「MGです──」



 離れた社長室出入口のブロンズ硝子(ガラス)の扉見つめながら眉根しかめ応えた。



「──いえ、後で行きます。取りあえず幾つかのニュースを見てみます」



 言い方を押さえないと怒りが爆発しそうだった。もう書類へ意識が戻せないほどに離れていた。



 そうしてマリーはAIに命じた。



「テレビをつけて。チャンネルは複数のニュースを八分割で」



 そう命じるといまだにどこにあるか知らないマイクが音声を拾い上げ事務デスクの右手壁がスライドして百インチ余りの液晶画面が現れすぐに八分割で各局の速報を映しだした。



 状況を映しだしてる局の映像だけをざっと飛ばし見て、大手のABCを全画面に音声も出してとマザーに命じるとすぐに切り替わった。



 大げさに話すニュースキャスターの内容を聞きながらマリーは、明日はヘラルド・バスーンに同席し上院聴聞会に出向かないといけないというのに、よりにもよってと舌打ちした。



 余りにものフラストレーションにマリーは広い社長室中央の空間に百億度のプラズマ火球を生み出しギラギラと激しく揺らめくそれを一(にら)みでひねり潰した。



 そうして深く一呼吸すると椅子から立ち上がり社長室を出てエレベーター・ホールへと向かった。









 八分ほどでマリーが情報指揮室に入るとレノチカが立って第三情報ブースへ真っ直ぐ行き声を掛けると指揮室代理長を勤めるレノチカが顔を上げた。





「レノチカ、どうなの? 何かつかめそう?」



「はい、今回テロリストらは不用意にも周辺の複数の防犯カメラに記録されています。爆発物の入ったボストンバッグやスポーツバッグを運んで来たのは八人で、内三人は画像解析で中東人と断定しました。今、足取りを繋いでいます」



 言いながらエレナ・ケイツはマリア・ガーランドが鼻筋にしわ刻んでいるのを眼にして内心まずいと思い始めた。



 セキュリティ・スタッフの話しではMGは格闘訓練でも実戦でも鼻筋にしわ浮かべると信じられないほど破壊的な行動に出ると聞いたことがあった。



 この人は魔法使えてカナダの決して小島ではない島を半壊させたこともあるとルナに聞いたことがあった。だからMGは時々美的センスのない首輪(チョーカー)をしているが、ルナがあれは癇癪かんしゃく起こすマリア・ガーランドが暴走してマンハッタンを壊滅させないためのもの──首に巻いた合成爆薬だと口滑らせたこともある。





 それを今日、この人は一度も着けてない!





「そ、早急に足取りから隠れ場所(ネスト)を、か、確定し────」



 社長が何も言わずにじっと見つめていることに寸秒、エレナ・ケイツは向けた流し目でMGを見つめ体強ばらせ苦笑い浮かべてみせた。



 マリア・ガーランドがさっきよりも深く鼻筋をゆがめ指示を出した。



「レノチカ、十二時間以内にテロリストらの隠れ場所(ネスト)を特定しなさい。襲撃するから」



 マジかと情報2課課長は生唾飲み込んだ。



 レノチカがブースのパソコンモニタに映っている時計を見たら丁度18:21に切り替わった。今夜は徹夜だと涙目になり、引きった苦笑い浮かべた。



 副指揮官で戦術指揮官(OTC)のルナが居ないのにどうやって攻撃中隊を出すつもりだとレノチカは思った。





 この人はテロにマジ切れしている。





 朝までにテロリストらのアジトを特定しないと何を言われるかわからなかった。以前にマリーは本気で怒り社長室に巡航ミサイル撃ち込んだ女武器商人の股関節を1秒で外してしまったのだ。それを社内保安カメラの録画(TL)に見つけた時に両脚の震えが止まらなかったとレノチカは思いだした。



早期解決(ER)させます」



 そうエレナ・ケイツが覚悟を伝えると命じたマリア・ガーランドが食い入るように容疑者の一人の映像をのぞき込んでおり、その人物の顔にMGは人さし指と親指だけ伸ばした人さし指の爪先をじっと押しつけつぶやいた。





"BOOM!"

(:ドン!)





 顔を上げたマリア・ガーランドと視線絡み合ったレノチカにMGは唇の上に人さし指を当て黙りなさいと伝えると、情報部門がアクセスしている様々な画像が映しだされた壁面の巨大液晶画面モニタを見回しふいに六課のブースへと足を運んで課長(GM)に声を掛け彼が顔を上げると社長は巨大液晶モニタの数百に分割されている一つへ腕振り上げ指差し何か告げ始めた。



 レノチカは二課の職員が爆発物の入ったと思われるボストンバッグを運んだ男の足取りがどこまでつかまれているか問うた。



「トラヴィス、ダフィのかたわらにボストンバッグ置いた奴の足取りはどこまで分かってる?」



 タイムズ・スクエアの北方にあるブロードウエィ劇場割安チケット売り場──TKTSの辺りの三角地帯にあるファーザー・ダフィー・スクエアに立つダフィ牧師の銅像のかたわらだった。爆発の衝撃で銅像は途中から折れていた。



「ブロンクスの33番ローソン通り駅まではつかめています。ですがあの地区は監視カメラ自体が少ないのでこれからが大変ですよ。ネットワークから独立するTラプスも調べに行かないと。夜間は録画見せてもらえないので幾つか不法侵入で調べて来ないと」



 レノチカはこの時間に残り作業している日勤職員らを含め両手叩き鳴らし大声でみなに告げた。



「容疑者の一人が爆発物設置後、真っ直ぐにブロンクスの33番ローソン通り駅へと向かっている! 他の容疑者も同様なら今夜は手分けして記録されている画像を手に入れに向かってもらう。明朝までにテロリストらの潜伏場所の特定をする! 協力お願いします!」



 徹夜残業をぼやくものもいたが、一人も今日上がりを申し出るものはおらず、みなが起きている事態を深く憂慮しているとエレナ・ケイツは思った。





 レノチカはチーフを真似てモニタに映る容疑者の顔に人さし指の爪先を押しつけてみてセキュリティらがいつもテロリストらを急襲するときはこんな刺々しい気持ちなのかと思った。











 日中に送り出した七人が何事もなく戻ってきた。





 ニュース番組を見る限りリモートで起爆頼んだミラド・アリ・アルバラの仕事は満足いくものだった。



"دو روز تا کار بعدی مونده. امیدوارم همه حسابی استراحت کنن."

(:次の仕事まで二日ある。皆に十分な休養を)



 ミラドは無言でうなづき大部屋にいる六人の元へ出て行った。ミラドは寡黙だが物事をよくわかっていた。故国にあだなすこの異教徒を容赦なく手に掛ける。



 人は熱心なイスラム教徒であっても多くは人を手に掛けることを躊躇ちゅうちょする。それは人の愚かな本質であり教義に対する姿勢とは異なる。



 異教徒が中東で行った非道に対する聖戦を恐れてはならない。



 これは宗教学者(ウラマー)であるマルジャエ・モハンマド・ハーンからの指導でもあった。





 異教徒らが911と呼ぶ聖戦を上回る打撃を与える。





 それはまだ火蓋を切ったばかりで、この国のたみの恐怖はこれからだった。



 イランから来た男らに長老(シャイフ)と慕われるジャファリ・アクバリ・カリミは年末に掛けて計画している仕上げに何をねらうかを二年前から決めて準備してあった。





 この都市の硝子の城(グラスシャトー)と呼ばれる世界的大企業の本社ビルを異教徒の思惑(つぶ)ごとく文字通り硝子(ガラス)の様に打ち砕いてみせる。











 サウジアラビアから帰国した宗教学者(ウラマー)──マルジャエ・モハンマド・ハーンは衛星放送のCNNニュース番組を見ながら、始まったかと思った。





 熱心な教徒であるものらが、聖戦の名のもとに異教徒の国に打撃与えるのは都度あるが、大々的なものには胸のすく思いを抱く。



 中東に西欧資本と軍が入ることこそアッラーの名において大きな誤りでけがれだった。



 ニュース番組のキャスターは朝に始まった連続爆破が夕刻にあの都市の大通りを蹂躙じゅうりんしたさまを目にして、これは多くの同胞らの流すことになった異教徒らの血のあがないだと思った。



 それを残虐でないとは思わない。



 だが流された血は血で償わせるのがペルシャの土地の古くからのおきてなのだ。



 部屋に他の宗教学者(ウラマー)が入ってきて声を掛けてくるとニュース番組を目にしてたずねた。



"این فاجعه کجاست؟"

(:どこの惨事ですかな?)



"این یک شهر بزرگ آمریکایی است"

(:アメリカの一都市です)



"خشن است"

(:すさんでますな)



 そう告げその宗教学者(ウラマー)が要件を切りだした。



 そうだ。普通の教徒にとって異教徒らの騒乱に過ぎない。



 イスラム教徒にとって敵対心は千差万別なのだとマルジャエ・モハンマド・ハーンは思った。





 だが彼はまだ異教徒らの土地で聖戦を繰り広げる敬虔なもの達が最終的にねらおうとしている標的に、彼が二十六年前に異教徒の特殊部隊の指揮官を狙い爆破テロを仕掛けた時の親族で生き残りがいるなど運命の巡り合わせをまだ知らなかった。







 世界的超巨大複合企業(Exコングロマリット)NDCの社長マリア・ガーランドその人だった。












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