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Part 3-5 National Crisis 国家の危機

OCR NDC HQ-Bld. Chelsea Manhattan NYC. NY. 01:17 22th Dec./

14 Jay Street Tribeca Lower Manhattan NYC NY. 03:22


12月22日01:17 ニューヨーク州ニューヨーク市チェルシー地区NDC本社ビル作戦指揮室/

03:22 ニューヨーク州ニューヨーク市ロウワー・マンハッタン トライベッカ地区ジェイ・ストリート14番地







 ブロンクスのテロリストのアジト(アセット)二カ所の襲撃が失敗に終わりセキュリティらが本社に戻ってくるとタンク・ルームで全員がデ・ブリフィーリングをエレナ・ケイツから受けた。



 まず現地指揮を行ったロバート・バン・ローレンツの報告を受けた。



「テロリストらの反撃は甘いものであり、当初から抵抗する意思がほとんど見られず、当夜の襲撃が予測されていたものだ。これは我々の出撃が監視されたものである可能性が大きく、本社ビルの周囲──または社内に情報提供者がいる可能性が高い」との指摘があった。



 それを聞いてレノチカは眉根寄せると、特殊情報員のミュウ・エンメサロームに声を掛けた。



「パトリシアと協力して、社内外の監視者を特定。私に報告後、身柄拘束(こうそく)し線を辿たどります」



 レノチカはそう全員に周知しロバートに話し戻した。



「ロバート、イスラミートのテロリストらは通常襲撃されるのを想定し証拠隠滅と襲撃部隊の殺傷にアセット(アジト)に多量の爆発物を仕込みますが、どうして今回は侵入箇所のトラップに止めていたのだと思いますか?」



「襲撃は我々とは限らず市警、FBI、NSAとどこが行うかその時次第だと思われるが、我々が来ることを知っていて出だししなかったのは、執行猶予を与えられたと思うほうがいいだろう。恐らくは別な舞台で一気に片をつけるつもりだ。つまりどこか狙いをつけている」



 聞いていてレノチカは困惑げな面もちになった。



「別なステージとは何だと思います、ロバート?」



「テロリストらの連続爆破が三つの駅から始まりタイムズ・スクウェアで終わってないのは明白だろう。あいつらは一連のテロでまだメッセージを出していない。だがニューヨークに911以降シンボルがないので正直に言うと最終目標の見当がつかない」



 パトリシアが定期的に調べ上げる多くのテロリストらの動向のどれが今回の一連の事案に関係するのか絞りきれていなかった。それだけテロを画策してる一団が多いのだ。ほとんどのテロリストらが目立つ場所を標的に選ぶので重なってしまい線がもつれてしまう。



 それを特殊諜報職員にばかり負担かけさせ追うことは難しかった。



「シンボルがないことはないでしょう──連中の目にとまればそれが標的になります」



 レノチカはまさしくそれが問題なのだと思った。





 我々はすべて守らなければならないが。





 テロリストらは一つ成功すればいい。





 そのあとレノチカは襲撃チームの各セルリーダーからインドア・アタック時に気がついたことを聴取したが、特にテロリストら首謀者に繋がることは見つからなかった。



 マリア・ガーランドからの指示はテロリストを狩りだすのが前提だが、ルナはあらゆる繋がりを求める。テロリストらに指令だすもの。テロリストらに資金提供するもの。テロリストらの隠れる場所を提供するもの。



 テロリストの主義に至るものをすべて根絶を願う。



 レノチカがデ・ブリフィーリングを解散させるとミュウがレノチカに声を掛けてきた。



「あの、いいですか?」



「なに、ミュウ?」



「本社内外のテロリストへの情報を提供しているものを探すのはいいのですが、職員は除いて社外で監視してる人を拘束こうそくをするのですか? 法的な問題ないのですか?」



 監視者の拘束こうそくはできるはずがないとレノチカは思った。だが排除はできる。職員なら解雇、外で監視しているなら不審者として市警に引き取ってもらうか、ぎりぎりの線で脅しをかける。MGならもっと過激にするだろうが。



「問題ないように処置するから、心配しないで捜索して」



 ミュウはうなづいてくれたものの不安げな面もちでもう一つレノチカにたずねた。



「先ほどロバートが言っていたテロリストらの最終目標ってNDCじゃないのですか?」



「どうして?」



「本社ビルに監視つけたうえで、うちの民間軍事企(PMC)業のセキュリティが一度目の襲撃に被害受けなかったことって、うちのセキュリティが必ずねらわれるということですよね」



 ミュウに言われレノチカもそうだと納得し鳥肌立った。テロリストらは爆弾魔だ。NDC本社ビルを爆破しようとたくらむことだってありうる。



「そう決まったわけでもないから警戒しておくだけでいいと思うわ。ミュウ、何か気がついたら教えて頂戴ちょうだい



 会社として不振人物を入れないと思っても、NDC本社ビルのスカイラウンジはマンハッタンの観光名所にもなってるからそういうわけにもゆかず。規正したとていずれまた観光客を受け入れなくてはならない。



 レノチカはテロリスト関係の記録を扱っている都合上、ふとベイルートのアメリカ海兵隊兵舎が爆破された事件を思いだした。ほとんど同時に離れたフランス陸軍の庁舎も爆破されている。レバノン内戦時、反米テロを行っていたイスラーム聖戦機構の犯行だったが、タンクローリー車に五トンもの爆薬を積んでの突入爆破で数階建ての建物が崩壊している。



 NDC本社ビルには大きな地下駐車場があり、そこをねらわれることを以前ルナが指摘し、先代の社長(COO)フローラ・サンドランは社員の利用もしくは事前予約来訪者だけの利用に制限して、乗用車クラスのものしか有人ゲートで入れなくしてしまった。



 不安はよぎるが、本社高層ビルは非常に頑丈で社長室に巡航ミサイルを撃ち込まれても外壁損傷だけで大きな構造上の不具合は発声しなかった。



 レノチカは一様、本社ビルが今回の連続爆破テロでねらわれることを電話しようと思ったが、任されている以上些細なことで一々一報するのも躊躇ちゅうちょし、結局メールで知らせるだけにした。



 本社ビルにパトリシアかミュウが在席すると、不審者が侵入するとほとんどの場合二人のどちらかが気がつきセキュリティが対処する。



 だが車を使った突入爆破テロになると、気がついた時には遅すぎる事態も憂慮された。



 ルナに超過勤務だと言われたレノチカは仕事を引き継ぎ退社したかったが、テロリストらのアセット(アジト)襲撃が失敗したため事後処理として、さらに勤務するため各GMに声掛けしておいて一度自分のデスクで椅子に座り一時間ほど仮眠してる最中に起こされた。







 深夜、ブルックリン橋が爆破され崩落し大騒ぎになっていた。











 マーサ・サブリングスはベッドで寝ているところを、当直の支局長代理職員に電話で起こされた。



「はい、マーサ・サブリングスです」



『支所長、ブルックリン橋が爆破され落ちました。数十台の車が巻き込まれ河に落ち現在死傷者不明です』


 ブルックリン橋が、と彼女ははっきりしない意識で困惑し指示した。



「事故ではないのですね────わかりました。四十分で一度事務所に出ます。情報を収集して下さい」



 ブルックリン橋を落とすなんて少量の爆薬でできはしないと明瞭になった思考で考えた。



 シェリーの通話を切りマーサはベッドから離れ、手早くメイクしスーツに着替え十分余りでトライベッカにあるアパートを後にして合同庁舎へと車で急いだ。



 十八時間で三度目のテロだと眉根しかめマーサは握るハンドルに力込めた。



 FBIはもう臨場しただろうかと管轄争いを意識し、マリア・ガーランドはこのことをもう知ってるはずだと動き出している彼女たちを考え、いや彼女は会長の上院聴聞会出席でD.C.に行ってると思いだした。



 だがマリアには優秀な部下が私よりも多いとマーサは思って苦笑い浮かべた。



 急ぎたかったのでPCに止められ余計な時間使いたくないとマーサは車の速度を法定速度の十パーセント増しに押さえた。青色のフラッシュライトを灯して緊急走行しても良かったが、存外深夜の緊急走行は交通事故のリスク高いとそうしなかった。



 ニューヨーク市警本署に近い合同庁舎まで十五分余りで到着し、国家安全保(NSA)障局の事務所に上がる前にエレベーターを止め連邦検察NY支局をエレベーターの中から見やり、硝子(ガラス)越しに影が慌ただしく動いているのを確認しドアを閉めるボタンを押し込んだ。



 証拠品はまたしてもフェズに持っていかれたとエレベーターを出て急ぎ支局の硝子(ガラス)扉を押し開くとデスクから支局長代理のダスティン・スパージョンが受話器を耳に押し当てた顔を振り向けた。



「支局長、夜分恐れ入ります。局長へは一報入れておきました」



「ありがとうダスト。シーナとドゥウェインは?」



 二人は今夜の当直だった。



「支局長への連絡前に現場へ。現在イーストリバーに落ちた車輌は二十八台だと。それよりも増えそうです」



 うなづいてマーサは壁のテレビを点け地元のケーブルテレビ局のニュース番組へ切り替えた。大手の報道よりもスタッフが現場に着くのが早い。



 すでに臨場した緊急車輌の赤と青のフラッシュが橋の上下で派手に点滅していた。



 橋の橋脚は残っており中央部分が切れ落ちていた。さすがにテロリストらには橋脚を爆破する量の爆薬も設置する時間もなかったのだろう。



 映しだされた映像では破壊規模はわからず、市警ヘリコプターの照らすサーチライトがなくなっている中央道路部分を映しだしていた。



 報道スタッフが興奮気味に伝える内容で爆発したのが中型のコンテナ・トラックで、まず瞬時に下の車道が抜け落ち引きられ上層が崩落したのだと言っている。



 日中ならもっと犠牲者は多かっただろうとマーサは思った。



「駅とタイムズ・スクウェアを爆破した連中の仕業でしょうか?」



 ダスティンにたずねられマーサはあごの下に右手親指を当て思案した。



 二十四時間以内の同じ都市での爆弾テロであり、恐らくは同一犯によるものと思い、ああ、連中には犯罪意識はないのだとマーサは苛立ちを覚えた。



「同じ連中でしょうが、手口が違うので別働隊なのかもしてません」



「支局長、午前零時ごろブロンクスで市警特殊部隊が二カ所襲撃したみたいです」



 それを聞いてマーサは二カ所だとと疑問に思ってダスティンに問うた。



「市警特殊部隊? NDCの民間軍事企(PMC)業じゃないの? 一般の犯罪絡みの襲撃ではないと思います。NDCが何かテロリスト情報をつかみ急襲したのでしょう。襲撃を市警に引き継いだとか」



「市警かはわかりませんが、五分隊規模らしいです」



 大掛かりだとマーサは思った。日中のテロも半端でなかったので市警も本腰入れてると見せようとしたのか、マリアらが正確な情報を市警に流したのかもしれない。



「ダスト、テロリストらの犯行声明は?」



「まだ各報道、ネットともにないです」



 もしかしてこのテロは序盤で、本当のねらいが他にあるのかとマーサは思った。



 連続爆破テロの多くは一撃目を最も目立つ場所や乗り物を選ぶ。その方が犯行声明が注目を集めるためだが、昨日からニューヨーク市内で起きているテロの犯罪者らは主義主張を知らしめるものではないのかもしれなかった。



 このまま連中は何も主張しない。



 主義主張の拡張がねらいでなく。怨恨えんこんの可能性が出てくる。



 多数の犠牲者となっている市民へだろうか。



 いいや血肉にしか過ぎない。



 市長や州知事ならありうるだろう。もしかして他の個人か一企業がねらいならと考え始めてマーサはテロリストの首謀者はもっとシンプルに動いている気がしてならなかった。





 お前をねらっているのだと知らしめ、じわじわと首に掛けた指を締めてゆく。





 中東の国々は反米、反欧州主義を掲げるが、それは外交方針のみならずひとり一人の感情論からある。



 中東に入り込む国を敵性とみなし、ロシアですらたたかれる。



 他宗教に寛容でありながら異教徒がゆるせないのは入り込んでくる異教徒が国や地域をくいものにしていると思い、重く信仰するイスラム教を侮辱してると感じるからだ。



 だからアメリカや欧州の最も目立つ都市を報復に選ぶし、方法に自身の死もいとわない。殉教者となることを望むから911のようなことを行える。



 気に食わないのだろうが、知事や市長が何をしただろう。彼らの宗教や指導者を揶揄やゆしたのだろうか。





 そうじゃない。今の州知事や市長は表立ってそんなことをしたと聞いた覚えがなかった。





 ねらいは一企業、一個人に向いてくる。





 マーサ・サブリングスは報道の映像を見ながら強いいきどおりを感じ、最終的にねらわれる誰かに深い危機感を抱いた。



 一企業、一個人への怨恨であれ、これは我が国への明確な攻撃であり、FBIよりも国家安全保(NSA)障局の対応を必要とすると敵対行動だと思いニュースを見ながら局長代理へと説明と指示を出した。





「ダスト、我が国で中東と深く関わっている企業のリストを作成して。この連続爆破テロをNSAが取り仕切ります」





 そう告げ、若き支局長は振り向き近いデスクへ寄るとキーテレフォンの受話器を上げ、そら覚えのFBI長官のプライベートな番号を打ち込んだ。







 深夜だろうとこの緊急時に構わないと思った。












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