神秘の魔力?
「リティあのねっ!!」
その休み時間、みんながマロンくんを質問攻めにしている脇を通り過ぎたあたしとルルルンは、ベランダで話をしはじめた。
なんだかとてもうれしそうなルルルンを見るのはわるくない。
どんなルルルンも最高に可愛い。
おや? あたし、親父化してきてやしないか?
「どうした? ルルルン」
「あのねっ。あたし、魔力が増えてきたみたいなのよ」
「ほう? どんな具合に?」
たとえば、とルルルンがつづける。
「マロンくんのこころの声が聞こえてくるの。きみは誰? どうしてこんな学校にいるのって」
「ん? マロンくんだけ?」
ピンポイントにマロンくんだけってのは解せないな。
「そう。なんでかな? で、横を見ても目が合わないし。これって魔力の関係だと思う」
「そういうことなら、ルルルンの魔力が増えたってことより、マロンくんの魔力が関係してるんじゃないかな? ルルルン気をつけてよ。初っ端からマロンくんにかどわかされないでね」
「かどわかす、なんて。そんなことないよ。ただ、どうしてかなって思ったんだ」
「それなら、こころにシールドを張って、それをブロックしちゃうしかないのかな? あたしには聞こえないから、実際どうしたらいいのかわからないんたけど」
「じゃあ、あたしの魔力が増えたわけじゃないんだ。がっかりだな」
ルルルンのところの家系は魔法力が多くて有名だから、よけいに気にしてるのだと思う。
しっかし、マロンくんや。なんでそこまでルルルンを気に入ったのかねぇ? 課題も一瞬で仕上げていたし、彼ほどの魔力があれば、この学校で習うことなんてないはずなのに。おかしいなぁ?
「そういうことだから、なにかまたおかしなことがあったら、遠慮しないであたしに言って? す〜ぐたすけるからさ」
「わぁ〜い、リティ大好き!!」
女の子同士のハグを笑う人もいるけど、こういうのも地味に必要なんだよ。
だって、はてしない友情を育てているわけだからさ。
「それなら、さっきの授業あんなに真剣に聞いていて損したかもしれない」
「いや。ルルルンはそのままでいてください」
そういう、ふつうではありえない程度のおっちょこちょいなところがまた魅力的なのだからさ。
なんて、本人には言えないけど、これがあたしの本心なんだ。
それにしたってイケメン転校生がどうしてそこまでルルルンにこだわるのか、どんなことをたくらんでいるのかを探らないといけないような気がしてきたな。
よし、尾行のひとつもやってやろうじゃないよ。
つづく