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マロンくん、さすが?

 あたしたちは、それぞれの等級数に見合った課題を出される。それは男子もおなじこと。


 とりあえずそこそこの魔法は使えて、そこそこの課題ができるのに、あえて課題だと楽しめないからぎりぎりまで手を付けない。それがあたし。


 一方のルルルンは、自分が不器用で料理も手芸も掃除も下手だと自覚しているのに魔法力も少ない。だからいつも努力する。


 そんなあたしたちだから、課題はいつも、お互いのやつを交換して作る。それは先生にもバレているはずなのに、一向に直そうともしない。


 と、なるとこれはもうお互いにゆずる気がないというわけで。


「わぁ、ルルルンの刺繍、すごく綺麗」


 ほかの生徒はそれを知らないから、ルルルンが手芸上手だと信じて疑わない。


 それ、一応魔法じゃなくて全部手で縫ったのよ? もっと褒めて!!


「わぁ……。今回もリティシアの刺繍、なんというか、芸術的だよね?」


 やめて。微妙な褒め方されると、ルルルンがかなしむから。


 そんなわけで、転校生のマロンくんだけが課題がなかったわけだけど。


 なにを思ったか、突然空間魔法でキャンパスを取り出すと、あっという間に刺繍してしまった。


 うわっ。これ王様じゃん!! いやもう絵とか刺繍の枠飛び越して写真じゃないよっ。


「すご〜い!!」


 あっという間に課題をこなしてしまったマロンくんに、みんなで拍手喝采!!


 仕方なくあたしも拍手せざるをえない。うぬぅ、イケメンというだけでなく、魔法も完璧主義かぁ!? この、このっ。憎らしすぎるぞ。


 だけど、そんな程度ではルルルンは渡さないからねっ。


 当のルルルンの方はのほほんとしちゃって、すっかりマロンくんに釘付け。と、いうか。マロンくん。なんとルルルンの好きなタイプにどストライクなんだな。どうしよっかな。


「いや、みんなの作品も見せて欲しいな」


 割と低めの声でささやいて、みんなの作品に目を通す。……と、あたしが縫ったルルルン名義の刺繍に目が止まった。


「これは、どなたの作品ですか?」


 困ったルルルンは、涙目であたしを見る。まったく、しょうがないなぁ。ルルルンの秘密は墓まで持っていきますって。


「この作品は、あたしの親友のルルルンの作品だよ」


 あたしが言うと、みんなが口々にそうなの、ルルルンってすごいんだよ、と次々と声が上がる。


 なるほど。秘密の共有ってところは、先生もおなじわけね。


     つづく




 


 

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