その少年、謎多し
次の日。学校でルルルンと再会。え? なんで一緒に登校しないのかって?
だって、毎日学校で顔合わせているだけで充分うっとおしいのに、登校時間も守れない遅刻魔のリティシアと登校するのなんて正直無理でしょ?
……って。ルルルンに言われてしまったからさぁ。あはっ。あはははははは。
それはともかく、課題の刺繍を出してみると、みんな凝った作りの刺繍が多いことまぁ。
「みんなぁ〜。ビッグニュース!! 転校生が来るってよぉ〜」
うん? 学級委員長、やけにはしゃいでるなぁ。
「がっつけ女子! めっちゃくちゃイケメンですぜぃ」
うきゃあ〜、と沸き立つ教室内。男子少なめの教室の中では、貴重な戦力となる。
うほっ。イケメンかぁ。それは楽しみだなぁ。
ルルルンは可愛いからいいとして。このあたしがモテるわけないし。イケメンと言えどもルルルンは渡さんっ、と。こういう節度ある態度がたいせつよ。
そんなわけで朝礼のチャイムが鳴る。ほぼ同時に、担任教師がしかめつらしい態度で入室してきた。
「え〜、学級委員長には先に報告しておいたが、我がクラスに転校生が来た。マロン・マル・マルホルンくんだ」
すっごい名前だなぁ。あたしも人のこと言えないけど。
そしてお待ちかねの転校生マロンくんのご登場! だってもう、一歩足が見えただけで、女子生徒の悲鳴が聞こえてくるほどなんだもん。
「はじめまして。マロンです」
身長完璧。声、中性的から少し低め、発音申し分ない。手足長い。顔、パーフェクト。って、おいっ!!
もうさ、女子の喜びの雄たけびがすごいの。だって獣のように咆哮をあげてるなんて、ありえないもの。
それほどのイケメン。女子供は近寄るなオーラも完璧!!
そしてマロンくんは少しも動揺していない。こんなもんか? イケメンにとっては、女子のがっつきに対してはこんなものなのか? いつものこと?
やだ。なんかムカついてきた。
この子、もしかしたらルルルンといい仲になりそうな予感がする。嫌だわ。なんか嫉妬しちゃうわ。あたしのルルルンなのにっ。
「それでは、ルルルンの隣に座りなさい」
「はい」
出たよ、教師のえこひいき。いきなりルルルンと急接近とかありえないから。
なんて嫉妬心ばりばりに出していたら。
「それでは、課題を提出してください」
という学級委員長の声に心臓が持って行かれるかと思った。
この刺繍。絶対にルルルンが手伝ってくれたものだってバレちゃうよね?
だって、あたしより下手だもの。いや、気持ちはありがたいのよ? 仕事も早いし。でも、完璧なルルルンにも欠点はあった。変にドジっ子で不器用なのだった。
つづく