秘密は意外と難しい
お城のお菓子を持って帰ってもいいと言われたけれど。
すべてを秘密にするためには、お菓子を家に持って帰るリスクがあることに気がついた。
これは、ルルルンとの秘密とはまた格別に難易度の高い秘密すぎて、どこかでバレてしまいそうで怖い。
そっか。だからシエトロン王子様はわざわざ名前を変えてマロンくんになったわけだ。
あたしもうっかりシエトロン王子様と言わないように気をつけなくちゃ。
その点、ルルルンはしっかりしている、というか、必要なこと意外はあまり話さないから心配がいらないっぽい。
なんてふたりで公園でお菓子を食べながら話に花を咲かせる。
さてさて。この秘密はいつまでつづくのかな? 少なくとも、お姫様がお生まれになってしばらくはつづくとおもうのだけど。
あたしたちが魔法学校を卒業するまでには解禁したいよね。だって親から進路はどうするかって聞かれるだろうし。
「でもわたし、卒業したらリティシアの調理場で働きたいと思っていたのにな」
「お気持ちはありがたいのだけれど、それは丁重にお断りしてもよいかな?」
ルルルンに調理場をまかせたら、阿鼻叫喚な事態に陥って、結果的にあたしが叱られることになりそうな未来しか見えないよ。
ルルルン、あなた仕事早いのに、どこをどうしたらそんなに不器用に振る舞えるのだい?
「ともかく、それも含めてマロンくんに相談していこうよ」
「そうね。あ、そろそろお兄ちゃんのお祝いが始まるから、リティシアのお店に行かなくちゃ!!」
「本当だ。あたしも手伝わなくちゃ」
今日は、ルルルンのお兄さんの貸し切りパーティー。張り切っちゃおう。
家に戻ると案の定どやしつけられる。
「リティ、どこに行っていたの!? 早く手伝いなさい」
「はいはい、ただいま〜」
さっそくお母さんに叱られるも、頭の中は秘密でいっぱい。
あのね、お母さん。と言いそうになるから、口をぎゅって閉じてないと大変なことになりそう。
とにかく秘密は秘密。パーティーはパーティー。
ありがたくも、ルルルンが手伝おうか、と言ってくれたのだけど、丁重にお断りしたのでした。
だって、仕事が増えるじゃない。
それにしても王妃様。ものすごくつらそうだったな。お腹の赤ちゃんの情報ももちろん秘密なのだろうけど、魔法力の強い赤ちゃんを身ごもるのも大変だということを学びました。
すると、ルルルンの家はすごいんだな。ルルルンはともかく、お兄さんは魔法力あるし、奥様も魔法力高いし。
だからこそ、命ってすごいんだよな。
つづく




