表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/20

お茶会、そして……

 本来ならば、あたしがお茶を注ぐ係りなのだと思うけど、なんといきなり王妃様がポットを持ってしまった。


「あ〜! あたしがやりますので」

「あら? いいのよ、今は。わたくしもこういう作業が好きですもの。ふふっ。リティシアはおやさしいのですね」


 妊婦さんだからとか、王妃様だからとかでなく、本当にあたしがやらなければならなかったのに、気がきかないな。


 こんな時のルルルンは……っと? なんでこんなに思いつめた顔をしているの?


「す、すみません。わたし、やっぱり無理です!!」


 あたしが茶器を受け取っている間に、ルルルンぎ立ち上がってしまった。


「どうしたの? ルルルン」

「だって、わたしはお茶をいれることもできなければ、課題の手芸ですらまともに作ることができないのです。それなのに、お姫様のお世話なんて、とてもじゃないけど怖くてできません。もし、失敗したら、取り返しがつかないんです」


 あら? と、王妃様は顔を曇らせる。

 

 ルルルン、本当にそう思ってるのなら、あたしもおなじ考えだよ? だから、ふたり一緒にスカウトされたんじゃないの?

 

 シエトロン様は、そんなルルルンを一度椅子に座らせるなり、でも、と口を開いた。


「僕はふたりを指名したんだ。課題を交換しているとわかった上でね。それは、楽しい遊びのひとつなのだろう? だとしたら侍女という役目を楽しめばいいのではないか?」

「課題と侍女とでは、役割の責任が天地ほどの差があります。課題はバレたら笑われておわりですけど、侍女ではとても責任がとりきれません」


 そこでシエトロン様は、少し待っていてくださいと言い置いて、席をたつそして奥の部屋から額を持ってくると、あたしたちに渡した。


 こ、これはまた。ルルルンの課題以上に個性的な刺繍だわっ。


「これを刺したのは、母上……王妃様です。ですから、ルルルンとも話が合うのではないかと思ったのだが。かえってプレッシャーを与えてしまったのなら悪いことをした」


 ルルルンは、自分が魔法で刺した刺繍を思い出すように、額の中の刺繍の絵を見つめた。


 それはもはや、子どものいたずら書きのようにも見えて、芸術家ならよろこびそうなものだった。


「これを、王妃様が?」

「はい。ともに学びませんか? 魔法と手芸とを」


 ……もしや、この個性的すぎる刺繍のせいで、侍女たちから孤立させられているのではないかと思い始めてきたのだった。


     つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ